ラストラン密着ドキュメント。さよなら、銀座線01系メモリアルトレイン

2017年3月10日、多くの人に惜しまれながら営業運転を終了した銀座線01系。 そんなファンへの感謝の気持ちを込めて「さよなら銀座線01系メモリアルトレイン」が、上野検車区--中野検車区間で運行されました。 拍手と感動に満ちたこのラストラン・イベントの模様をリポートします。

望月崇史(もちづきたかふみ)

書いたひと:望月崇史(もちづきたかふみ)
1975年静岡県生まれ。放送作家。 ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら好きな鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。

幸運をつかんだ100名が上野検車区に集結!

銀座線01系ラストラン

3月12日、午前8時過ぎの「上野検車区」。2日前に営業運転を終えたばかりの01系「01-130編成」は、有終の美を飾るべくラストランに向けて最終準備が行われていました。お隣には後継車両1000系の第30編成が顔を揃え、30編成同士が並ぶ「新旧交代」の図が。上野検車区の皆さんの粋な計らいに、早くも胸がアツくなります。

銀座線01系ラストラン

駅のポスターなどで告知されていたこのイベント。1000を超える参加応募のなかから選ばれた100人の皆さんが乗車する3~5号車には、中吊り広告の場所に、この日だけの「銀座線01系ラストラン」の文字と共に、皆さんの「01系への思い」が掲示されていました。

小さい車体で頑張ったことへのねぎらいの言葉、秀逸なデザインを称える言葉、さらには個人的な思い出までたっぷりと書かれ、01系がいかに愛されていたかが見てとれます。

銀座線01系ラストラン

いよいよ午前9時前、幸運をつかんだ100名の参加者の受付が順次スタート。

男性を中心に女性ファンもちらほら、若い方から年配の方まで、いつもは柵の向こうから見ているだけの「上野検車区」に足を踏み入れていきます。

普段一般の方を入れない場所で行われた当イベント。当日は100人を超える運営スタッフが現場に。なんと参加者の皆さんより多い人数!

銀座線01系ラストラン

参加者は、6号車の非常用貫通扉からはしごを上って乗車していきます。 これもまた、非常時にしか使われないドアだけに、皆さん興奮気味!

ちなみに、このときの行き先は、ドアに隠れていて分かりにくいのですが、普段はまず見られない「銀座」という幕になっていました。これも素晴らしい計らい。

超難問揃いの「銀座線クイズ」

銀座線01系ラストラン

参加者は、事前に分けられた「赤」「青」「黄」の3チームに分かれて乗車。

銀座線01系ラストラン

それぞれのカラーの記念乗車証を受け取ります。

銀座線01系ラストラン

乗車証には、それぞれの鉄道趣味を表す「○○鉄」を記入する欄もありました。 「撮り鉄」「録り鉄」「乗り鉄」「模型鉄」......参加者各々が得意ジャンルを記入して、自分の号車へ向かいます。

銀座線01系ラストラン

着席後は、制限時間10分、全11問のクイズにチャレンジ。 その名も「超難問!? 銀座線クイズ」!!

気になる内容はこちら。

銀座線01系ラストラン

Q.01 1983年(昭和58年)、当時の銀座線近代化用の車両として製造された01系の01編成の車両は高さ3485mmでした。では、02編成以降の車両の高さは何mmでしょうか? 4つのなかから1つに丸をつけてお答えください。

3455mm
3465mm
3475mm
3495mm

Q.02 銀座線01系の初の車両は冷房装置が無い状態で登場しましたが、冷房装置搭載で登場したのは何編成以降からでしょうか? 4つのなかから1つに丸をつけてお答えください。

21編成以降
22編成以降
23編成以降
24編成以降

Q.03 銀座線01系車両のほとんどがチョッパ制御装置を用いていますが、最後の2編成だけは違う制御装置となりました。その制御装置の名前は?

Q.04 銀座線01系の車輪は製造時で直径860mm。では、磨耗の限界値は直径何mmでしょうか? 4つの中から1つに丸をつけてお答えください。

760mm
770mm
780mm
790mm

Q.05 本日、皆様がご乗車の01系(メモリアルトレイン)の30編成車両の営業開始日は何年何月何日でしょうか?

Q.06 先日まで走っていた銀座線01系のくまモン電車。さて、1編成にくまモンは合計何体いたでしょうか? 4つのなかから1つに丸をつけてお答えください。

91体
94体
97体
100体

01系の最終営業車両となった「01-130編成」は、先日まで「くまモン電車」として活躍したものと同じ編成ということもあり、「1編成にくまモンは何体いたでしょうか?」という問題も(ちなみに、正解は91体)。

いよいよ「最後の旅」に出発!

銀座線01系ラストラン

午前10時、「さよなら銀座線01系メモリアルトレイン」は、ついに発車の時を迎えました。

この日のゲスト、鉄道写真家・中井精也さんの「出発、進行!」の号令を受け、車掌さんからのブザーの音、運転士さんの指差喚呼の声が乗務員室に響いて、01-130編成がゆっくりと動き始めました。

長年のすみかである上野検車区を後に、「帰らぬ旅」へと出発です。

銀座線01系ラストラン

窓の外に目をやると、上野検車区勤務の皆さんが総出でお見送り。

昭和58年(1983年)大晦日のデビューから33年あまり、長年01系のメンテナンスにあたってきた方々の胸には、さまざまな思いがよぎったことでしょう。

鉄道写真家 中井精也さん

鉄道写真家 中井精也さん

電車は、上野検車区前にある珍しい「地下鉄の踏切」を通過し、地下鉄史上屈指の急勾配・55パーミルの坂を下って、地下への本線へ。 中井さんによるトークもヒートアップしてきました。

銀座線01系ラストラン

10:15頃、上野駅を発車した01系は、銀座線の各駅をゆっくりと通過していきます。

各駅停車しかない銀座線で、「駅をスルーする」というのもプレミアムな体験! 東京の真ん中・日本橋~三越前~銀座を01系で通るのは、これが本当に最後です。

これまた超レアな体験。丸ノ内線沿線へ

銀座線01系ラストラン

10時30分過ぎ、「さよなら銀座線01系メモリアルトレイン」は、赤坂見附駅で銀座線の乗務員さんから丸ノ内線の乗務員さんに交代後、長年走った銀座線の線路に別れを告げ、ポイントを通過して丸ノ内線の線路へ入っていきます。

この区間は通常、回送列車のみが通る路線。したがって列車に乗ったまま通るのは、今回ならではの超レアな体験。うれしさと切なさが入り混じった、何とも不思議な空気が車内に充満していきます。

銀座線01系ラストラン

やがて地上に顔を出す四ツ谷駅を抜け、新宿、中野坂上を経由し、丸ノ内線方南町支線へ。 中野富士見町駅を出たところで方南町支線から分岐して、再び地上へ上がってきました。

銀座線01系ラストラン

午前10時55分、「さよなら銀座線01系メモリアルトレイン」は定刻通り、中野検車区に到着。

第三軌条の電気が止められ、ステップが用意されて参加者の皆さんが車両基地に降り立ちます。 銀座線01系の「最後の旅」を満喫した皆さんの顔は、実に清々しく、晴れやか! 上野検車区~中野検車区まで、充実の55分間だったことがうかがえました。

最後の1分1秒まで一緒にいたい!

銀座線01系ラストラン

写真に写っている参加者の皆さんはヘルメットを着用。構内全域で、必ず着用が義務づけられています

中野検車区では、3つのチームに分かれて行動しました。

1つ目のチームは、01系の外観撮影へ。

鉄道写真家・中井精也さんのレクチャーを受けながら、思い思いの構図でシャッターを切ります。 普段はよく見えないことから、鉄道好きの間では「電車のヌード写真」ともいわれる台車やモーターなどの「足回り」を入念に撮影する皆さんもいましたよ!

01系の左右には電車を入れず、しっかりとその勇姿をカメラに収められるように。その調整も、今回のイベントで担当者の方が苦労した点なのだとか。

銀座線01系ラストラン

2つ目のチームは、01系の車両内撮影会。

中でも大人気の「運転台」では、運転士さんからの前面風景や、メーターなどの計器類をカメラに収めていきます。そういえば01系の初期車は「非冷房」だったこともあって、乗務員室には「扇風機」があるんですね。

最近の電車の運転台には、液晶画面も多いですが、ちょっぴりアナログなメーターが並ぶあたり、30年あまりで鉄道車両も大きく技術が進歩していることを感じさせてくれます。

銀座線01系ラストラン

そして3つ目のチームは、中野工場の検査の様子を見学。

いつも丸ノ内線を走っている02系の車体が、台車と離され、"宙に浮かんで"いる様子をナマで見られるのも、今回選ばれた100名だけのプレミアム企画です。

01系の思い出よ、永遠に

銀座線01系ラストラン

1時間半あまりのチーム別行動の後は閉会式。「超難問!?銀座線クイズ」の正答率上位5名に、今回だけの激レア景品がプレゼントされました。

気になるそのレアな景品とは???

銀座線01系ラストラン

なんと01系の床に敷かれていたのと同じ「床材」!

これはまず、手に入りません。そもそも廃車となってしまう01系、予備の部品等は破棄されてしまっていたのですが、この床材だけはなんとか確保したのだとか。果たして何に使えるのかは謎ですが、成績優秀者5名の皆さんにとっては、まさにメモリアルな「お宝」になったことでしょう。

銀座線01系ラストラン

そして、今回の参加者全員へのお土産として、01系の車体が描かれた食品包装用のラップフィルムや、01系の「つり革」がプレゼントされました。しかもこのつり革、実際に01系で使われていたもの!

浅草の風呂敷専門店「くるり」協力の銀座線オリジナル風呂敷も付いており、つり革と風呂敷を組み合わせたオリジナルバッグがつくれる説明書も添えられました。

銀座線01系ラストラン

日本が好景気への登り坂を登っていた1983年、銀座線における近代化の旗手として登場した01系。

80年代の好景気は、のちにバブル景気と呼ばれ、90年代初頭には泡沫の夢と消えてしまいましたが、01系は利用者に深く愛され、30年以上にわたって「東京の顔」であり続けました。

そして今、2020年に開催される東京オリンピック/パラリンピックへ向かう中で、01系は後進の1000系に道を譲りました。20世紀から21世紀への橋渡し役を立派に成し遂げたのです。

画期的だった列車走行位置表示、モーター音、車輪とレールがこすれるあの音、柔らかいシートの座り心地...。01系の記憶を忘れることはないでしょう。

33年間お疲れさま、そしてありがとう! 銀座線01系!!

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