こんな時代にEchika(エチカ)が!? 90年前にあった「地下鉄ストア」の謎を追え

最近はいくつもの駅に駅ナカ商業施設が誕生しています。東京メトロでも現在、2005年の表参道駅を皮切りに、池袋駅、東京駅などに駅ナカ商業施設、EchikaとEchika fitを開業してきました。しかし、90年前にも駅ナカ商業施設があったのをご存知ですか?
どうやら、東京メトロ(当時は東京地下鉄道)が、地下に商店街をつくっていたというのです。今回はその謎を追いました。

浅草に「地下鉄食堂」を!

雷門ビル

1929(昭和4)年に、地下鉄の出入口を利用し建設された雷門ビル。地下鉄直営食堂を開業し、浅草の一名所となった

昭和2年に開通した東京メトロ銀座線。実は、開通してからある課題を抱えていました。それは、地下鉄事業は莫大な資本が必要とされること、また鉄道のみの経営では十分な利益を上げることができないというものでした。地中を掘って路線を引く地下鉄は、地上に線路を設置する他の私鉄よりも、莫大な資金を必要としていたのです。

そこで出たアイデアが「食堂をつくろう」というものです。

地下鉄は多くの人が通る出入り口がある。その人達を対象に商売をすれば、一定の利益を上げられると考えました。そこで建てられたのが、浅草雷門ビル。そのなかにその名も「地下鉄直営食堂」を開業しました。そのおいしさと安さが評判を呼び、浅草の名所となりました。

しかし、いくら食堂が繁盛しても、地下鉄事業の副業としてはその利益は微々たるものでした...。

Echikaの前身!? 地下鉄ストアが誕生!

地下鉄ストア

そこで考えられたのが「地下鉄ストア」です。「どこよりも良い品を、どこよりも安く売る」をコンセプトに、日用品販売をはじめることを決定。昭和5年に上野駅の構内に地下鉄ストアを開業しました。食料品に日用雑貨、おもちゃなどを販売したところ、なんとこれが大当たり。そこで新たに上野駅にビルを建設、地下2階、地上9階の「上野地下鉄ストア」が誕生しました。

上野地下鉄ストア

1934年に撮影された上野駅前広場。奥の建物が「上野地下鉄ストア」

日本初の、本格的なチェーン店展開!

須田町地下鉄ストア

神田駅出入口にあった須田町地下鉄ストア。現在は東京メトロの施設になっている。1932年撮影

当時の日本には、多くの百貨店がありましたが、日用品を買える身近なお店はまだまだ少ない状況でした。そこで「欧米のようなチェーンストアを人々の近くにつくりたい」という想いから、地下鉄ストアを銀座線各駅にチェーン展開する計画が立てられました。

しかし、当時世界中のどこの地下鉄をみても、チェーンストア経営を行っている例はありませんでした。そこで、地下鉄ストア担当の社員をアメリカに派遣し、現地の百貨店やチェーンストアを研究。従業員の育成は阪急百貨店とパートナーを組み、万全の体勢を整えました。

綿密な計画のおかげで、チェーン展開は大成功。百貨店の脅威とまでなりました。

地下鉄ストアのチラシ

チラシ所蔵・中川和子氏

こちらは上野地下鉄ストアの開業直後のチラシ。ぐっと寄ってみると、

地下鉄ストアのチラシ

取扱商品は、砂糖に海苔、かまぼこ、石鹸、しょう油など、日用品が多品種売られていることがわかります。

このように、東京地下鉄道の資金繰りの一助となった地下鉄食堂・地下鉄ストア。浅草雷門ビルの地下鉄食堂は昭和9年に廃止、昭和20年から浅草車掌区・電車区の業務用スペースに転用されています。一方、上野にあった食堂は昭和56年まで営業していました。

開通当初から食堂に日用品ストアなど、地下鉄事業以外のビジネスも行ってきた東京メトロ。その意思は、現在のEchikaや新規事業開発に受け継がれています。

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