1日2時間の積み重ね!上野駅は御影石をつかって生まれ変わる【工事の進捗いかがですか】

今年(2017年)6月のジャイアントパンダの赤ちゃん誕生以来、お祝いムードいっぱいの上野。銀座線上野駅の渋谷方面行のホームにひと足早く整備されたホームドアにも、パンダのイラストが描かれています。そんな上野駅でも、着々とリニューアル工事が進行中。

リニューアル工事の現場に潜入し、工事の進捗をお伝えしている「工事の進捗いかがですか?」。第4弾は、銀座線と日比谷線が乗り入れる上野駅にやってきました。平日夜、銀座線上野駅に渋谷方面からの上野駅止まりの最終車両が到着するのは、午前0時39分。
リニューアル工事は終電から始発の間で行われるので、作業の時間はおおむね午前1時から午前3時半まで。およそ300人の大所帯で、銀座線の全駅改装のなかでも最大規模のリニューアル工事が行われているんです。

上野駅を「美術館」にするために...!

午前0時50分ごろの上野駅ホームでは、工事箇所の目隠しをしている仮囲いの取り外しをしていました。工事が終了すると、元通りに仮囲いを設置する必要があり、取り外しと設置の時間はあわせて20~30分ほど。実際の工事作業ができる時間は約2時間しかないという厳しい条件で工事が行われているんです。

この日、案内してくれたのは、上野駅のリニューアル工事を統括しているのは工務部に所属している笑顔が素敵な佐藤昂哉さんです。リニューアル後の上野駅のコンセプトは、「美術館のある街」。駅構内にも「美術館のある街に似合う、上質な空間へ」というキャッチコピーとともに、リニューアル工事のお知らせが貼り出されています。

JR上野駅方面改札を入って上を見上げると、天井素材のモルタルや、塗装のカケラなどが落ちてくることのないように二重天井化が進行中。さらに、その内部にケーブル類をまとめて収納するのでスッキリとした天井になりそうですね!

JR上野駅方面改札を入ってさらに進むと、正面にはいちめんの仮囲い。いったいなかではどのように工事が進んでいるのでしょう?

扉を開けてもらうと、思いのほか広い空間が...!

以前は駅の事務室だったスペースががらんどうに。いったいなにに使われるのでしょうか。聞いてみると「素敵な場所」になるとのこと...どんな場所になるのか楽しみにしてくださいね!

浅草方面行のホームに降りていくと、線路の上には移動式足場のメトロステージが登場! この足場をつかって線路部分の天井は、黒を基調とした塗り直しが行われていました。リニューアル工事完成後は周りの色と一体化して、落ち着いた雰囲気になるそう。

これからの地下鉄の壁はアートだ!

渋谷方面行のホームでは、仮囲いの内側で、壁の工事が進行していました。ホームも美術館をイメージした仕上がりになるのですが、現在はどのようになっているのでしょうか。仮囲いの内部をのぞかせてもらうと...

ブロックが積みあげられていて...

その上から石のパネルをはめることで新しい壁の完成です! パネルの裏にブロックを積むことで、漏水対策になるのだそう。

さらに、改札からホームに続く階段の壁にも注目! こちらにはホームとは違った質感の「御影石(みかげいし)」が使われています。しかも、階段の外側(ホームの壁側に続くサイド)と内側で、使っている石が違うんです! 外側は「ダコタマホガニー」と呼ばれる赤い石、内側は「山西黒(さんせいくろ)」と呼ばれる黒御影石が使われているのです。

少しでも安全に! ホームと電車の隙間を埋めています

上野駅はカーブの途中に設けられた駅なので、当然ホームとレールはカーブしていますが、車両は直線です。そのため、車両が停まるときには、どうしても「車両とホームの間が広く開いているところ」が生まれてしまいます。このリニューアル工事では、ホームドアの設置と合わせて、ちょっとした工夫が施されました。

その工夫はこのゴム(赤枠内)です。従来のホームから、ちょこっと飛び出した黒いもので、車両とホームの間が135mm以上空いてしまうドアの部分に設けられています。さらに、このゴムを設置しても隙間が広い場所には「可動ステップ」というものを取り付けることで135mm以上の隙間ができないようにしています。これは、車両が駅に到着するとホームからステップが張り出し、隙間を埋めるというもの。車両が出発する際に、ドアが閉まるとステップはホームのなかに格納されるようになっています。

135mmというのは、一般に乳幼児の胸の厚みといわれ、歩幅が狭い小さい子どもたちが、車両とホームのすき間にストーンと落ちてしまうことがないように配慮しています。お子さんと一緒に可愛らしいパンダを観にやって来たお母さんたちも、この小さなゴムがあることで、安心してホームに降り立つことができますね!

ここまで大きなトラブルもなく、順調に行われているという上野駅のリニューアル工事。佐藤さんがいちばん気を使っていることは「ノーミスで毎日の作業を終えること」だそう。なぜなら、1つでもミスが発生すると、始発電車が運行できない危機につながってしまう恐れがあるからです。加えて、上野駅の工事スタッフは、およそ40の会社、300人以上が参加する大所帯! ミスを防ぎ、円滑に工事を進めるため、毎日、工事前には20分の打ち合わせが行われ、週1度は工事スタッフの夜組と朝組が入れ替わるタイミングの朝7時から、各工事部署のトップによる話し合いも行われているそうです。

そういった丁寧なコミュニケーションの積み重ねを続けて、丸2年。佐藤さんたち工事関係者の方々は、ここまでの工事を振り返りながら、改めて気を引き締めて、最後の仕上げ作業に入っています。

真夜中の2時間半、毎日繰り返される工事によって生まれようとしている上質な空間、新しい上野駅。美術館のように生まれ変わる上野駅の完成をお楽しみに!

望月崇史(もちづきたかふみ)

書いたひと:望月崇史(もちづきたかふみ)
1975年静岡県生まれ。放送作家。 ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら好きな鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。
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