神田駅は「国道の地下」から生まれ変わりはじめた!【工事の進捗いかがですか?】

開通90周年に向けて進行中の銀座線リニューアル工事の現場に潜入し、その進捗をお伝えしている「工事の進捗いかがですか?」。第5弾となる今回は「神田駅」にやってきました。
下町気質な職人の街というイメージの強い「神田」。その玄関口は、いったいどんな姿に生まれ変わろうとしているのでしょうか?

リニューアルコンセプトは「昭和のオフィス街」!

神田駅入り口のイメージ

神田駅のリニューアルコンセプトは、「昭和のオフィス街」。
このコンセプトをもとに、中央通り(国道17号)にある神田駅の出入口は、昭和のオフィスビルをイメージした、たくさんの小窓が設けられたデザインにリニューアルされつつあります。

工務部の林田真澄さん

工務部の林田真澄さんに、須田町方面にある5・6番出入口に続く通路を案内してもらいました。
5・6番出入口は、オフィス街にあることもあり、早朝・深夜帯は人通りが少なめ。この出入口のご利用可能時間は7:00~21:00となっており、リニューアル工事も21時過ぎからはじまります。他の駅に比べて、作業時間が長く取れるのはオフィス街ならでは。

リニューアル後の連絡通路はギャラリーに!

仮囲いの扉

「工事の進捗いかがですか?」シリーズ恒例、仮囲いの裏側潜入!
神田駅はいかがでしょうか?
林田さん、ドア・オープン!!

扉を開けると...

連絡通路

須田町方面への通路は、銀座線ならではの「鉄鋼框(かまち)」を活かし、既存の柱と壁を額縁に見立てたギャラリーがつくられ、銀座線・神田駅の歴史資料が展示される予定になっています。
仮囲いの裏では、ギャラリーらしく透明なガラス(場所によっては茶色部分が大判タイル)をはめ込むスペースが急ピッチでつくられていました。
実際に工事を行ったところ、壁の手前に設けられるアクリル板は、当初のデザイン案より高くなり、天井近くまで伸ばされることになったそう。

デザイン案

当初のデザイン案。実際には画像右側のアクリル板は天井近くまで伸ばされている

このほうが、より一層見栄えがしそうです。
たとえ工事の途中でも、よりよい駅をつくりあげるため、 このように微修正が行われていくんですね。

仮囲いの外された1・2番出入口側の通路

一方、1・2番出入口(JR線方面)への通路は、ひと足早く大きな仮囲いが外されていました。
普段、神田駅を利用される方にとっては、もしかしたらこちらの通路のほうが、馴染みがあるかもしれませんね。
緑色の柵の向こうにある壁には、「昭和のオフィス」風の小さい窓のデザインが施されていきます。
でも、それ以上に注目したいのが...林田さんが指し示しているこの茶色い帯の箇所!

天井端にある茶色い帯のような箇所

実はここ、照明が上向きに取り付けられていて、白く塗られた天井に映える、間接照明になります。
さらに床近くにも間接照明が設けられることになっていて、通路全体を優しい光が包みます。
LED照明を採用し、環境面にも配慮した仕様となっています。「神田駅の通路、ちょっと暗かったんだよなぁ・・・」という記憶は、もう少しで過去のもの。乗換えの忙しない時間が、ホッとひと息入れられるあったかい時間に変わるかもしれません。
12月のリニューアル工事完成が待ち遠しいですね。

「島式ホーム」ならではの苦労が...

作業中のホーム

須田町方面、JR線方面の2つの通路に挟まれるように設けられた神田駅のホームは、すべての列車が1つのホームで発着する、いわゆる「島式ホーム」。線路を挟んでホームが設けられた「相対式」が多い銀座線・下町エリア(浅草~神田駅間)において、神田駅のホームは唯一の「島式」なのです。ホームの工事は、最終電車が発車してからはじまるので、他の駅同様、厳しい時間制約のもとに行われています。

作業員

この日は線路内の側壁をリニューアルする工事が最終段階を迎えていました。
相対式ホームではホーム内で壁の工事が可能ですが、島式ホームの駅では、線路上での作業となるため、作業中の安全には特に気を遣うといいます。

かまぼこ型天井

ホーム中央付近から天井を見上げると、一部では昔ながらのかまぼこ型の天井が健在でした。場所は6両編成の銀座線のうち、だいたい3~4号車付近でしょうか。実はこの付近、ホームの8本の柱だけが「特別仕様」となる予定とか。神田駅の工事完了のあかつきには、どんなホームになるのか楽しみですね。

作業現場

中央通りでは、地面の下でトイレ工事が進行中!!

銀座線・神田駅の真上は、中央通り(国道17号)が通っています。交通量の多い国道で工事をするために毎晩21時ごろから少しずつ車線規制を行い、厚い鉄板をひいたうえで地下を掘り進める工事が行われていました。

こちらの工事を統括するのは、改良建設部の名倉有香さん。どんな工事が行われているんでしょうか?

改良建設部の名倉有香さん

はしごをつたって国道17号線の直下に降りると、地下には大きな空間が広がっていました。電気・電話・水道などの配線・配管を傷つけないよう、一部は手掘りで慎重に掘り進められました。

各種配線・配管が広がる空間

須田町方面の通路では、トイレの移設工事が行われているんです。この地下空間で進められているのは、トイレの新たな排水設備、およびポンプ室を設置するための工事だったんですね。
この工事はおよそ30人から40人のスタッフで行われており、掘り進める作業は既に終了。
これから、山場となるコンクリート打ち作業に取りかかるところだといいます。

名倉さん

仕事柄、「地面の掘りやすさが気になる」という名倉さん。神田駅付近の地面は掘りやすい地質でよかったそうですが、お隣・末広町駅付近の地面は粘土質が多くて、掘削作業が難航したのだそう。1駅違えば、地質も違うんですね。

トイレの移設工事はリニューアル工事に合わせて完了予定! 多機能トイレも新設されます。
「新しい駅もお披露目になるハレの日にトイレが完成していないということはあってはならない」と気を引き締めて、急ピッチで作業を進めているそう。

平成生まれがプロデュースする「昭和のオフィス街」!

工務部の林田さん、改良建設部の名倉さんともに、20代。
昭和をリアルタイムでは知らない世代が、「昭和のオフィス街」というデザインの意図を理解し、今の時代に合わせてプロデュースしています。世代や性別を超え、手に手を取り合って、新しい街がつくられていく活気がそこにはありました。
12月になったら、ぜひ新しい神田駅に降り立ってみてください。

望月崇史(もちづきたかふみ)

書いたひと:望月崇史(もちづきたかふみ)
1975年静岡県生まれ。放送作家。 ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら好きな鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。
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