文化祭で銀座線車両が運転できる!?高校生に落札されたパーツを追え!【銀座線探偵団】

東京メトロ銀座線の秘密を紹介する「銀座線探偵団」。今回は2017年3月に引退したばかりの銀座線01系車両のパーツの行方を追いました。4月に行われた「東京メトロ銀座線01系公開解体買付ショー」で銀座線01系車両の運転機器を落札したのはなんと、鉄道研究部に所属する現役の高校生! 高校生の手に渡った銀座線のパーツは、現在どのようになっているのでしょうか?

目玉商品を落札したのは現役高校生!

「高校生、ニコニコ超会議で銀座線の主制御器を落札」
2017年の4月末、こんなニュースがネットで話題になりました。

東京メトロは4月29日、「ニコニコ超会議2017」内の「向谷実 Produce! 超鉄道」に出展し、「東京メトロ銀座線01系公開解体買付ショー」を実施。3月に引退したばかりの銀座線01系(01-130編成)から車両部品を取り外す様子を上映し、その場で抽選販売を行いました。

さまざまなパーツが出品され、いずれも倍率の高い抽選となり、その一喜一憂に会場は大盛り上がり。そのなかでもっとも注目を集めたのが、運転機器(主制御器とβ計・圧力計・速度計のセット)を引き当てた東京電機大学中学校・高等学校鉄道研究部のみなさんでした。

落札後、彼らは早速こんな情報を発信します。

BVEとは個人が制作している、列車の運転をシミュレーションするWindows用フリーソフト。そのシミュレーターを本物の主制御器で動かせるなんて、そんな夢のようなことができたのでしょうか。顧問の先生も「ぜんぶ事後報告でした」と苦笑する出来事を、取材してきました。

銀座線シミュレーターは果たして完成したのか?

9月16日に開催された東京電機大学中学校・高等学校文化祭。JR東小金井駅からまっすぐ北へ向かうと、力強い看板が!

東京電機大学中学校・高等学校

東京電機大学中学校・高等学校

あ、お気づきの方もいるかもしれません。「鉄道研究部」と書いてある最上階の窓、いちばん左に偶然映り込んだ「地下鉄」とある看板。東京メトロという名前になる前、「営団地下鉄」時代の半蔵門駅の看板です!! 期待がさらに高まります。

東京電機大学中学校・高等学校

校門をくぐって、なかへ。

東京電機大学中学校・高等学校

高校の文化祭なので、他の教室にはオバケ屋敷、駄菓子屋など高校生らしい展示が並んでいます。「ちょっと男子--!」という声も聞こえてきたりして、青春のきらめきがまぶしい......。

顧問の先生に先導していただき、校舎の4階にある鉄道研究部の展示会場に到着しました。

東京電機大学中学校・高等学校 鉄道研究部入口

入場券がわりの「切符」を切ってもらっていざ入場!

入場券がわりの切符

教室に入ると、黒板の前に銀座線シミュレーターが!

銀座線シミュレーター

銀座線の運転が本格的に楽しめるとあって、整理券が配られるほどの人気を博していました。

運転台体験整理券

順番が回ってくるのを待つ間に、その他の展示を紹介してもらいます。

まずこちらは発車ベルスイッチの操作体験ができるブース。押すと中央線の駅員さん気分に!

発車ベルスイッチの操作体験ブース

発車ベルスイッチの操作体験ブース

こちらでは、大がかりな鉄道模型を展示。

鉄道模型

鉄道模型

2016年の全国高等学校鉄道模型コンテストで優秀賞を獲得したジオラマです! 雪景色が美しい......。

鉄道模型

日比谷線で活躍した03系115Fのパーツ展示も! 愛に溢れています。

03系115Fのパーツ展示

03系115Fのパーツ展示

どれも高いクオリティ。中高校生のうちから本格的に活動できる設備と環境のある鉄道研究部は数少ないそうで、この文化祭で受験を決める鉄道好きの小学生もいたとか。

満を持して登場! 銀座線シミュレーター!

さあ! いよいよ、本物の01系運転台のパーツを使った銀座線シミュレーターとご対面です。

銀座線シミュレーターを操作するようす

ちょうどシミュレーターに挑戦中の少年がいたので、その様子を撮影させてもらいました。

お兄さんの説明を聞いて、

銀座線シミュレーターを操作するようす

銀座線シミュレーターを操作するようす

いざ発車! 緊張の面持ちです。そして、次の駅が近づいてきたら、ぴったりの位置に停まるようにブレーキをかけます。この日は2駅分の運転が体験できました。

ちなみに今回、鉄道研究部が落札したパーツはふたつ。ひとつは少年が握っている主制御器で、もうひとつが、スクリーンの前にあるβ計・圧力計・速度計セットです。今はつながっていませんが、いずれはこれも連動するように改造予定だとか。

本物のパーツを使ったシミュレーターの完成度は高く、少年たちも興奮を隠せない様子でした。

しかし、こんなすごいものを高校生だけでどうやって......?

シミュレーターとの連動用パーツはOBが製作!

取材をしてわかったのは、鉄道研究部OBたちの活躍でした。

今回主制御器が手に入ったとわかるやいなや、「それまではなにもしていなくて、ただ存在していただけでした」(OB大浦さん)というOB会が一念発起。大学で学ぶ電気・機械工学の技術とアルバイトで稼いだお金で現役生をサポートし、主制御器でシミュレーターが動かせるようになったのです。

OBチームが制作した機械

今回の展示のためにOBチームがゼロから制作した機械。主制御器からの出力した信号をPCに伝える役割をにない、出力値もモニタリングできる

OBチームが制作した機械

カバーを外した主制御器。アナログなレバーの動きをデジタル信号に変換するもともとの仕組みをほぼそのまま利用している

東京電機大学中学校・高等学校は中高一貫で上下級生同士のつながりが強く、また東京電機大学の学生たちともつながりが強いそう。そんな環境だからこそ、協力しあって銀座線シミュレーターを完成させることができたのかもしれません。実際、厳しい上下関係は感じられず、それぞれが尊重し合っている空気を感じました。

鉄道研究部のみなさん

パーツ落札時はお小遣いを持ち寄って購入

ニコニコ超会議に行き、実際に「β計・圧力計・速度計セット」の購入権を獲得した高校2年生の中西さんにお話を伺いました。

鉄道研究部・中西さん

──倍率20倍以上の抽選を勝ち抜いてのパーツ獲得、強運ですね! もともと主制御器やβ計・圧力計・速度計セットを狙っての参加だったのでしょうか?

中西さん「いえ、もともと狙ってはいないです。方向幕とかそういうちょっとしたものを手に入れて文化祭で展示できたらいいねって話をしながら行きました。まさか、当たるとは思っていなかったので、すごくうれしく感じたとともに、びっくりもしました」

──落札されたパーツは合計で4万9千円。高校生じゃなくても高額な買い物だったと思うのですが、部費から捻出されたんでしょうか?

中西さん「いえ、先生に相談していたわけではないので、一緒に行った部員たちの財布から出しあいました。学校はアルバイトが禁止なので、貯めておいたお小遣いを持ちよったかたちですね。ただ、最終的にはOB会がそのお金とシミュレーター制作費を立て替えてくださったので、ぼくらは一銭も出していません。OBにはお世話になりっぱなしです」

──OBや先生に報告した際は、どんな反応でしたか?

中西さん「OBのみなさんは『ヤバいものを買い込んできたな』と喜んでくれましたね。先生は、特になにかおっしゃったわけではないですが、悪い気はしていなかったと思います(笑)」

鉄道研究部のみなさん

タテのつながりが強いからこそ完成させることができた、銀座線シミュレーター。主制御器もβ計・圧力計・速度計セットも、いい人たちの手に渡って新たに蘇ることができて喜んでいることでしょう。運転シミュレーターは来年度以降も完成度を上げて展示を続ける予定とのことなので、気になる方は鉄道研究部のTwitterをチェックしてみてください。

取材協力:東京電機大学中学校・高等学校鉄道研究部

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