その歴史は半世紀以上前から!銀座線冷房化への道のり

今は当たり前となっている東京メトロの空調設備ですが、銀座線開通当初は、車両はもちろん駅にも整備されていませんでした。現在の快適な車内環境の裏には、半世紀以上にわたる冷房化対策の歴史があったのです。今回は、冷房化が計画された経緯から完了するまでの歴史をご紹介します。

東京メトロの冷房化は駅とトンネルからはじまった!

日比谷線が開通した1964年前後から、東京都心部の人口が急速に増加。東京の都市化が急速に進むにつれ、地下鉄駅構内の気温・湿度が急激に上昇することとなりました。

この状況を踏まえ、東京メトロの前身である営団地下鉄は1965年に「高温高湿対策委員会」を設置。銀座線と丸ノ内線の主要駅ならびにトンネルに冷房を導入することを決定しました。

そう、当初は車両冷房を行わず、駅冷房とトンネル内冷房を組み合わせて冷房するという方針だったのです。そして、駅やトンネルの冷えた空気を窓から車両内に取り込むことで車両内を冷やすという計画でした。

駅冷房の効果のほどは?

1971年7月1日から銀座駅の銀座線エリアと日本橋駅全エリアで冷風の送出を開始。効果はすぐに現れました。冷房導入前の1970年8月は銀座線構内の温度が33度だったのに対し、導入後の1971年7月には24度にまで下がり、不快度が軽減されたのです。

ちなみに、当時の冷房設備には大きな冷却塔が必要でした。しかし、営団地下鉄は地上に大きな設備を設置できる土地建物を持っていません。そこで、銀座駅の冷却塔は三越銀座店の屋上を間借りするなど、沿線の施設の協力を得て駅の冷房化は実現されました。

そして同年、銀座線の上野駅〜稲荷町駅間でトンネル内の冷房を開始。車両から排出される熱でトンネル内の温度が上昇するのを防ぎ、駅冷房の効率を上げるためにも効果的であることが確かめられました。

ちなみにこのトンネル内冷房は、現在では行われていません。車両冷房や高効率な駅冷房の登場により必要性が低下したためです。2006年の丸ノ内線淡路町駅~大手町駅間のトンネル内冷房を停止したことで、全区間で終了となりました。

参考:駅冷房・トンネル内冷房導入推移

待望の全車両冷房化は1996年に完了!

営団車両への車両冷房導入は、JRや私鉄に遅れをとっていました。その主な理由は、冷房による使用電力の増加と、排気熱によるトンネルの気温上昇でした。しかし、のちに車両の省エネルギー化が進んだため、1987年10月に営団地下鉄によって「営団地下鉄における冷房計画」が定められました。このとき、ついに全線の車両冷房化の方針が決定されたのです。

それ以降、1988年から日比谷線・東西線・千代田線・有楽町線・半蔵門線の5路線で。1990年から銀座線・丸ノ内線の2路線で車両の冷房を開始しました。その約6年後の1996年7月には全車両に冷房が導入されたのです(南北線・副都心線の車両は、開業時より全車両に冷房が搭載されていました)。

ちなみに、銀座線と丸ノ内線での車両冷房導入が遅れたのは、トンネルの幅が非常に狭く、車両も小さかったためです。小さな車両のための薄型の冷房装置を新たに開発することでやっと実現されました。

今では当たり前となっている快適な地下鉄は、こうした先人の試行錯誤が積み重なって実現しているのです。現在行われている銀座線のリニューアル工事でも、空調設備も含めてさまざまな改善を行なっていきます。ますます快適に生まれ変わる銀座線の姿をどうぞお楽しみに!

写真出典:電気部50年のあゆみ

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