地下鉄の「安全対策」って何してるの?その苦労を聞く

突然ですがクイズです。
東京メトロの某駅の構内の写真ですが、この写真のなかにいくつセキュリティカメラが隠れているかわかるでしょうか?

正解は4つです。

一番奥のカメラなんて「こんなもんわかるかボケ!」って感じですが、少なくともこの写真に含まれている範囲だけで4つもカメラが設置されているって聞くと「多っ!」って思いませんか。この辺のカメラは全部リアルタイムで作動しているらしい。

この調子だと、僕が泥酔して全裸で走り回ったりするとすぐに駅員さんが飛んでくる。
駅員さんが飛んできたあとにすぐおまわりさんがやってきて逮捕される。逮捕されて「WEBライターヨッピーこと本名〇〇××泥酔して駅構内を疾走して現行犯逮捕!」ってネットニュースで流れる。いやー、これは悪いことできないわー!

申し遅れました。私、ライターをしておりますヨッピーと申します。今のところ前科はありません。
前回の「地下鉄の都市伝説について本当のところを聞く」の企画に続いて、本日も東京メトロにやってきております。

>>有楽町線に戦車が通るって本当!? 地下鉄にまつわる都市伝説をいろいろ東京メトロに聞く

「有楽町線は戦車が通れるように設計されてるって本当?」などといった都市伝説を検証するとともに、幻の「旧表参道駅」にも特別に入らせていただいたのが前回!

そして今回は「地下鉄の安全対策」についていろいろ聞いてみよう! という段取りになっております!

今回の記事では普通の人がまず見ないようなアイテムがあれこれ出てくるよ!

地下鉄って、スケジュール通りに運行しなくちゃいけないだとか、満員電車をどうするんだとか、公共の乗り物だけにいろんなものについて対策を打っておかなければいけないわけですが、本日はそのなかでも特に「安全対策」についていろいろお話を聞いてみようと思います!

【安全対策って、何するの?】

さあ、そんなわけで本日は安全・技術部の熊木さんにお話を聞きにやって参りました。
なんか知らんけどめちゃめちゃ笑っとるぞこの人! 宝クジでも当たったのかな。

ヨッピー 僕、正直言って「地下鉄の安全対策」とか言われても「そもそも地下鉄の危険ってそんなにありましたっけ?」って感じでいまいちピンとこないんですが、転落防止のために柵を設けるとかそういうこと......?

熊木さん ええ、もちろんそういった対策もそうですね。例えば線路への転落防止のためのホームドアの設置はメトロ全駅で進めております。

ヨッピー あー! 確かに! なんか徐々にできてきてますよね!ただ、銀座線はとくにホームドアの設置にめっちゃ苦労してるっていう噂を聞いたんですが......。

熊木さん 銀座線、ね......。

ヨッピー すごい。さっきまでめちゃめちゃ笑ってたくせに、銀座線の話になったら一気に表情が曇った。

熊木さん まあ、それは本当にご指摘の通りでして......。確かに銀座線は設置に苦労しているんですよ。東京メトロは開通90年になるんですが、一番最初にできたのが銀座線なんですね。東洋で一番最初にできた地下鉄が東京メトロの銀座線になるわけです。

ヨッピー ああ、それは前回も聞いてちょっとびっくりしました。銀座線は戦前からあるんですもんね。

熊木さん そうなんです。銀座線はそれだけ歴史がある、つまりは古い路線なんですね。地下鉄開通当時、90年前はホームドアを設置することなんて想定しておりませんから、今あるホームにそのままホームドアを設置するとその重さにホームが耐えられないんですよ。

だからホームドアを設置する前にまずはホーム全体の補強工事をしなきゃいけないんですね。それだけに時間がかかってる、ということです。工事中はお客様にはご迷惑をおかけして申し訳ないのですが......。順次すすめており、銀座線は2018年度中に全駅(渋谷駅を除く)に設置が完了する予定で、また、2025年度までに東京メトロ全179駅に設置することを目指していますので......もう少しお待ちいただければ......!

ヨッピー なんだか大変そうだなあ......。ちなみに、転落防止の他には安全対策ってどういうのがあるんですかね。

熊木さん それはもう幅広いですよ。例えば水害や震災といった自然災害への対策なども力を入れてやっております。

ヨッピー おお、なるほど。そういうのもあるのか。面倒見なきゃいけないものが多くて大変ですね。

熊木さん まず、阪神・淡路大震災のときに大きく基準が変わったんです。実際、神戸では地下鉄の天井を支えていた柱が崩れてしまって、大きな被害が出てしまったんですね。だから『震度7に耐えられるような設計にしなさい』という通達が国から出まして、私どもも耐震補強を施すなどして対応を進めたのですが、2011年に東日本大震災がありましたよね。

ヨッピー おお......! ありましたね......! あのときは地下鉄も全線運行停止してめちゃめちゃ大変でしたよ......! 僕は当時バイクを持っていたので、子供を保育園に迎えに行かなきゃいけない人とかを優先して会社から自宅まで何度も何度も後部座席に乗せて送りましたもん......! もちろん被災地の方々はそんなレベルじゃないご苦労をされてると思いますが......!

熊木さん そうですね。あの大震災のときでも、東京メトロに関して言えば補強を行っていたおかげで被害は出なかったんです。しかし、被災した仙台地区では地上部分の一部に運行再開に支障する被害が出まして。それを受けて東京メトロでも阪神・淡路で補強不要とされていた地上部分の耐震補強をあらたに施すといった対策をしております。

ヨッピー 丸ノ内線なんかは地下鉄って名前がついてるくせに、生意気にも地上部分をけっこう走ってますもんね。

首都直下地震等に備え、地震による被害を最小限かつ早期復旧ができるように、補強材+地盤改良により耐震補強を行っている

熊木さん 地上部分を走ると生意気っていうことになるのはよくわかりませんが、そうですね。こういう部分を補強して崩落対策をしたり。

高架橋柱全体に鋼板等を差し立てることにより、柱の変形を拘束し、耐力を向上させている。また柱上部にプレートを設置し、橋りょう、高架橋の落下防止を行っている

ヨッピー こういうのってお国から「やりなさい!」って指示されるんですか?

熊木さん いえ、この対策は独自のものですね。

ヨッピー じゃあお金も......?

熊木さん はい。自主財源です。

ヨッピー じゃあ熊木さんのポケットマネーから出てるんですね。

熊木さん そんなわけないでしょ。

ちなみに、「災害への安全対策」という意味では、水害が起こったときの浸水対策や、構内で火災が起こったときの火災対策も行われているらしい。火災対策については韓国の大邱(テグ)で起こった地下鉄火災事件を契機に避難経路を新しく設計したり、排煙設備を整備したり、車両の連結部分に防火扉を設置することで延焼を防ぐ設備が追加されたりしたそうだ。

【テロ対策って何やるの?】

ヨッピー 災害以外の観点だとどういうものがあります?

熊木さん 例えば鉄道テロ対策ですね。

ヨッピー おお......。それも考えなきゃいけないのか......!

熊木さん これは地下鉄サリン事件が発端です。多くの犠牲者が出てしまいましたし、大きな社会不安にもなりました。それによって全駅にセキュリティカメラを設置して常に作動させているとともに、全社員に対して研修を実施しております。あとはゴミ箱は中身が見えるように変更してありますよね。

ヨッピー あ、確かに! 今のゴミ箱ってスケルトンですもんね!でも、セキュリティカメラって駅だけじゃなくて車両にも設置しないんですか?車内でも痴漢なんかの犯罪が行われていたりするわけですし、とっとと導入すれば良いじゃん、って思ってるんですけど。そういう声もたくさんありません?

熊木さん はい。導入しますよ。東京メトロも全車両にセキュリティカメラを導入する方向で進めております。プライバシーの問題などもありますのでそこにはじゅうぶんな配慮が必要になるんですが。ただ昨今はおっしゃる通り、お客様からのカメラの設置に対する要望も増えておりますので、それに答えるような形で導入しようという流れになりました。

ヨッピー おお......! 世相も読まないといけないのね......導入されるならよかった......!
テロ対策と言えば、2016年の伊勢志摩サミットのときとか警備がすごかったですよね。駅におまわりさんが大量にいたり。

熊木さん そうですね。昨年アメリカのトランプ大統領が来日したときもそうなのですが、ああいうときは普段は事務作業をしている本社の社員も駆り出して各駅を巡回したり、ゴミ箱を一時的にですが封鎖して使えないようにしたり、駅構内で予定されていた夜間の工事を中止にしたりとけっこう大変でしたね。

ヨッピー それにも当然人件費含めてお金がかかると思うんですが、やっぱりそれも自主財源......?

熊木さん そうですね。公共交通機関としての社会的な責任がありますから。

ヨッピー なるほどー。なんか普段はあんまり考えずに電車乗ってますけど、そういう仕事もしなきゃいけないって考えると大変だなぁ。セキュリティカメラも誰かが張り付いて監視しているわけですよね。でも、あんまり見かけないようなけど、駅にカメラってあったっけ?

熊木さん ええ、ありますよ。見に行ってみます? 現場の担当者に確認してみますよ。

ヨッピー 行ってみたいです!

というわけで実際に駅にきてみました。

皆さんもぜひ、東京メトロを利用するときに注意して見ていただければと思うのですが、熊木さんの言うように、良く見てみると地下鉄の駅ってめちゃくちゃいっぱいセキュリティカメラがあるんですよね。

冒頭にも言った通り、例えばこの写真1枚のなかにも、

4つセキュリティカメラがあることがわかる!

これは別に利用者のプライバシーを暴いてやるぜガハハという事ではなく、

例えば駅構内で発生した暴力事件の証拠として録画した映像を利用したり、駅周辺で起こった犯罪の捜査に使われたりするらしい。なるほど。駅を利用して犯人が逃走したらこれのカメラに犯人が映りこんでいる可能性があるもんね。あとは急病で倒れた方が出たときなんかもこのカメラによって異常を察知してすぐ現場に向かうそう。

本当に、一度見ていただければわかりますけど駅のいたるところに監視カメラが設置してあるので、「これは悪いことできないわー」っていう気持ちになります。いや別に悪いことするつもりはないんだけど。今後は車両内にも随時導入されるとのことなので、それによって痴漢とかああいう車内で起こる犯罪もなくなるといいなぁ。

あとは駅に設置してあるエレベーターのなか!

こんな具合に「緊急装備品」というBOXが設置してあることをご存知でしょうか。

実はこれ、エレベーターが停止したときに使えるようなセットがなかに入ってるんですよね。
簡易トイレやルミカライト、体温を保護するレスキューシートや使い捨てカイロにお水、ホイッスルなど。これらを設置するようになったのは、東日本大震災のときに、エレベーターに閉じ込められる人が出たからなんだそうだ。こういうのも安全対策の一環らしい。

他にも駅の構内には帰宅困難者が発生したときのために、非常用飲料水、アルミ製簡易ブランケット、簡易マット、携帯用トイレが各駅に分散しておよそ10万人分常備してある。

停電対策のライトのたぐいもたくさん!

更には駅のこういう、何気ないところが実は隠し扉みたいになっていて......、

水害が起こったときに駅の構内に水が流れこまないように水を堰き止める止水板が収納されていたりする。「何かあったときのために」という対策のために普段からいろいろ準備をしていることがわかる。なるほど~~~!

【そんなわけで】

今回、東京メトロの安全対策について色々聞いてきましたが、ざっくりまとめるとこんな感じ!

・「安全対策」にはホームからの転落防止から災害対策、テロ対策まで多岐に渡るのでけっこうたいへん
・駅にはセキュリティカメラがたくさんあって常時作動しているし、今後は車両にもカメラが導入される
・東日本大震災の教訓から各駅には帰宅困難者向けの備蓄品が保管されるようになった
・止水板やエレベーターのなかなど、駅をよく見てみると色んな秘密が隠されていたりする

といったところ!今後も乗客の安全対策、しっかり頑張ってくれぇ~!

ヨッピー 今回、こうやってメトロさんの安全対策についてちゃんと記事にもしましたし、今後僕が駅の構内で、泥酔して全裸になって走り回った挙句おまわりさんに逮捕されたら、熊木さん「あの人、けっこういい人なんで勘弁してあげてください」ってかばってくれます?

熊木さん いえ、情状酌量の余地なしです。

ヨッピー 余地なしかぁ。

タグ

RANKING