トンネル内を走行しながら、より深い位置にある剥離検知を可能にするために、長波長の遠赤外線を効率良く発生する遠赤外線照射装置を開発しました。
この装置は、照射する遠赤外線の波長を1~10μmに設定し、8~13μm帯域の赤外線ラインセンサカメラでコンクリート剥離を検知するもので、実際のトンネルにおいて、現時点で深さ50mmの位置の剥離検知を実証しました。
この検知を可能にしたのは、最先端の光照射技術、光検出技術や画像処理技術に加え、鉄道のトンネルやコンクリート構造物に関する知見を有機的に融合した結果です。
(原理図)

図1 遠赤外線光源を利用した剥離検知の原理図
| (図1の説明) |
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加熱用遠赤外線光源により発生した遠赤外線が、検査対象であるコンクリート表面に照射されます。このとき、遠赤外線によりコンクリートは表面のみでなく内部も加熱されます。内部に空隙が存在する場合は、健全な部分に比べて熱伝達率が低下するため、コンクリート表面温度に微弱な温度差が生じます。これを赤外線ラインセンサカメラで撮影することにより剥離を検知することができます。 |
(模擬サンプルによる結果)
| 図2 |
深さ50mmの位置に発砲スチロール(厚さ0.3mm)を埋め込んだコンクリートサンプル |
図3 赤外線画像 |
| (図2・図3の説明) |
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深さ50mmの位置に模擬空隙を設けたコンクリートサンプル(図2)に遠赤外線を照射し加熱したものを赤外線カメラで撮影しました。模擬空隙部が他の部分に比べて僅かに高い温度を保っており、空隙の存在が赤外線画像(図3)で示すとおり赤い色調で確認できました。 |
(実際のトンネルで得られた結果)

図4 剥離検出例
| (図4の説明) |
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この手法により実際のトンネルで試験を実施し、剥離検知を試みました。図4は、コンクリート表面のひび割れを検知する可視画像と剥離を検知する赤外線画像を画像処理の手法を用い、重ね合わせて表示しています。
この検査部では、コールドジョイント付近に剥離が生じており、画像では、剥離部は赤色になっています。 |
(検査場所のコアを抜いた状況)

図5 コアを抜いた状況の写真
遠赤外線照射法による検査後に検査場所からコアを抜き調査した結果、本試験では、深さ約50~70mmの位置に剥離が存在することが確認できました。
(走行試験の模様)

図6 試験中の検査装置の写真
| (図6の説明) |
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実際のトンネルで、遠赤外線照射装置と赤外線ラインセンサカメラを用いた検査装置の走行試験を実施中の写真です。この検査装置を走行させながらトンネルのコンクリート覆工面に遠赤外線を照射し、赤外線画像を取得します。 |
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