【ひと駅車両対談】花やしきと銀座線の共通点とは!? 花やしき社長 弘田昭彦氏×東京メトロ 鉄道本部長 山村明義

毎日、約707万人のお客様を乗せて走る東京メトロ。その最初の路線である銀座線の全線リニューアルを機に、「ひと駅車両対談」と題し、沿線周辺の街で活躍する方々にお話を伺っていく対談企画がスタートします! 記念すべき第1回は、東洋初の地下鉄駅の1つ「浅草」から「浅草花やしき」の弘田昭彦社長をお招きしました。

浅草花やしき弘田昭彦社長

浅草花やしき 弘田昭彦(こうだあきひこ)
株式会社花やしき代表取締役社長。趣味はウクレレ、ギター、三味線、コラム執筆など。作詞家の一面も持ち「花やしき少女歌劇団」の楽曲を担当する。静岡県出身。

東京メトロ山村明義専務取締役

東京メトロ 山村明義(やまむらあきよし)
東京地下鉄株式会社、専務取締役、鉄道本部長。銀座線のリニューアルを取り仕切る。趣味は山登り。高校時代から「日本百名山」に挑戦し、現在93座登頂。静岡県出身。

ひと駅車両対談花やしき社長×鉄道本部長

「人が乗っていない車両に乗るのははじめてです。はじめて乗るアトラクションのような、不思議な感覚ですね」(弘田社長)

花やしき、なんと黒船来航時に開業!

山村 ようこそお越しくださいました! 今日は花やしきと浅草の街についてお聞かせいただき、今後、東京の街のために東京メトロがどんなことができるのか、ヒントをいただければと思っています。まず、花やしきの成り立ちについて教えてください。

弘田 はい。花やしきは、ペリーが黒船で来航した1853年(嘉永六年)、庶民のためのお庭として誕生しました。珍しい木花や、鳥を鑑賞できる場所として、当時、江戸幕府の大奥の女中さんたちが、浅草寺に参拝に行った帰りに唯一寄り道していい場所だったそうです。明治時代には遊園地や動物園の要素が加わり、昭和初期には映画館や劇場ができ、複合的な遊び場としての花やしきが生まれ、現在に至ります。

山村 もとは植物園だったのですね。しかしなんと、ペリーが来航した時代からとは!

ひと駅車両対談花やしき社長×鉄道本部長

互いの共通点は国内第一号

山村 花やしきと銀座線では、互いに共通する部分がありますね。花やしきは、日本で最古の遊園地。163年もの歴史をお持ちです。一方、銀座線は東洋初の地下鉄。さらに、互いに第一号でありつつも、激動の変化をくぐり抜け、ちょうどまた変革の時期を迎えている。企業理念についてはいかがでしょうか。

弘田 花やしきのビジョンは「夢、遊び、感動、安全」。「遊びを通して人々に笑顔をつくっていこう」がスローガン。遊具施設を使ってもらう際の安全を第一に捉えています。その上で、楽しんでいただいて、翌日に新しい活力を持ってもらいたいんです。

山村 いわゆるエンジョイメントの企業でありながら、安全を念頭に置いていらっしゃるわけですね。我々には「東京を走らせる力」というグループ理念があります。公共交通機関として東京の人々をお運びし、地下鉄があることで街が栄え、来訪される方々にも街自体を楽しんでいただく。そんな思いを込めています。もちろん、すべては安全があってこそ。現在行っている銀座線リニューアル、さらに先の東京2020大会に向けて、ホームドアの増設や災害時の浸水に備えた防水ゲートの機能強化、駅内のご案内表記の多言語化、バリアフリー化などを急ピッチで進めています。

弘田 街が活気づく上で、鉄道の力は非常に大きいと思うんです。そもそも花やしきは、関東にあるほかの遊園地と違って、お客様用の駐車場がない。ですから、電車でお越しいただくことが大前提。現在、東京都や埼玉県、千葉県からは多くのお客様に来ていただいていますが、神奈川県からももっとお越しいただきたいと考えています。そうした点からも、渋谷と浅草を一本で結ぶ銀座線には以前から注目していたんです。

ひと駅車両対談花やしき社長×鉄道本部長

街と人をつなぐ−−−リニューアルの夢と使命

山村 現在、花やしきが行われているリニューアルの内容を教えてください。

弘田 浅草の街にあるという最大の利点を活用し、娯楽の殿堂と言われるような総合娯楽場にしていこうと考えています。「花やしきルネッサンス」と提唱しているんですが、すでに中学生以下の子供たちに歌や踊りを教えて披露する「花やしき少女歌劇団」や「ハナヤシキプロレス」、また立ち技最強格闘技といわれる「シュートボクシング」の興業を園内で行っています。また、いわゆる「リアル謎解きゲーム」のイベントなども開始しました。2016年10月末からは50万球のLEDを使った夜のイルミネーションも行う予定です。

山村 少女歌劇から格闘技までとは幅広いですね。浅草駅発の銀座線の終電は夜12時過ぎに出て、30分程度で渋谷に到着するので、遊んだ後に周辺の飲食店に寄っても楽しめますね。そういえば、花やしきのシンボル「Beeタワー」が取り壊されるとお聞きしましたが。

花やしきBeeタワー

花やしきのシンボル、Beeタワー

弘田 そうなんです。故障してしまってから、その原因を調査していたのですが、残念ながら原因がわからず、涙を飲んで取り壊すことにしました。惜しむ声もたくさんいただいたのですが、おそらく「Beeタワー」自身が「もう役目が終わったよ」って私に伝えてくれたんじゃないか、と。解体後は500人ほどが入れる多目的ホールが建つ予定です。

山村 自分たちの場所をうまく活用しながら、新しい要素をどんどん取り入れていく。浅草の代名詞的な存在である花やしきが、ここまで大胆なリニューアルをやられていることには大変刺激を受けます。東京メトロでも、演奏会やアートにちなんだ展示やイベントを行っていますが、「場の活用」という面では大いに参考になりますね。

ひと駅車両対談花やしき社長×鉄道本部長

浅草はやっぱり「祭の街」!

山村 浅草という街の立ち位置は、東京の中でどう変化していると思われますか?

弘田 かつて浅草は日本一の繁華街でした。そして、今は渋谷が日本一の情報発信の街。東京の街が常に移り変わるこの100年の中で、どちらも一番になった街なんです。実は今から10年ほど前、弊社が渋谷のロフト(株式会社ロフト)と組んでお客様をつなぐイベントを開催しました。これはやっぱり銀座線ありきの発想。こんなにキャラが離れている街どうしでも、どこか「つながっている」という意識があるんですね。意識下に銀座線が通っている。

山村 光栄です。街ごとの特徴ということでいえば、今銀座線で行っている全駅リニューアル工事では、これまで以上に各エリアごとの個性が伝わるような内装やデザインに変えようとしています。たとえば、浅草から神田までは下町エリア、三越前から京橋までを商業エリア、銀座は銀座のまちそのものを、新橋から赤坂見附まではビジネスエリア、青山一丁目から渋谷はトレンドエリアといった形です。各駅もそれぞれコンセプトを決めておりまして、浅草駅は「祭りの街」というキャッチフレーズでデザインを公募、集まった案から選定を進めました。

弘田 おっしゃるとおり、浅草は毎日がお祭りのような場所です。仲見世通りなんて、地方から来た人は思わず「今日なんの祭りやってるの?」って聞きたくなるほど賑やかですし。非日常的なワクワク感を車内や駅構内から演出していただけると嬉しいですね。

山村 われわれも、あくまで安全をベースにしながら、ワクワクできるものを提供できたらと考えています。今日はとても刺激を受けました。これからも、今回の企画をきっかけに、いろいろと交流を持たせてください。本日はありがとうございました。

ひと駅車両対談花やしき社長×鉄道本部長

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