激戦エリア、京橋!!個性的なお店によってつくられた「京橋駅」の駅弁はまさにドリームな仕上がりだった【銀座線ドリーム駅弁】

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書いたひと:下関マグロ
山口県出身。東京都台東区在住。東京の街歩き、食べ歩きなどを中心に執筆活動をしているフリーライター。近著には『歩考力』(ナショナル出版)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(立東舎/共著)などがある。

新しい駅弁、京橋駅の駅弁をつくるぞ!

駅弁というと、全国各地いろいろな駅で売られているけれど、地下鉄の駅では駅弁を売っていない。というわけで、あるはずのない駅弁をつくっちゃおうっていうのがこの企画。今回は銀座線京橋駅のドリーム駅弁をつくります。

これまで、日本橋駅新橋駅浅草駅とドリーム駅弁をつくってきた今企画。これまでの駅は他の路線も乗り入れていたけど、今回の京橋駅は銀座線のみの駅。それだけに濃いドリーム駅弁になりそうな予感。しかも、日本橋エリアと銀座エリアに挟まれるという、なかなかに"難しそう"な土地だ。

というわけで、やってきました、銀座線京橋駅。このあたりには、かつて京橋という橋があって、その橋の下は京橋川という川が流れていたそう。

今回も空のまげわっぱを用意。ここに京橋駅周辺の名店からご提供いただいた料理を入れていきますよ、いざ、出発進行!

この曲げわっぱのなかに、京橋駅の周辺の名店で見つけたおいしいものを詰めこんでいくよ!

この曲げわっぱのなかに、京橋駅の周辺の名店で見つけたおいしいものを詰めこんでいくよ!

アジフライの名店『京ばし松輪』

まずは、京橋駅から近い『京ばし松輪』さんへ。ランチ時、長い行列ができることで有名な京ばし松輪さん。並んでいる人のお目当ては、一日限定70食のアジフライ定食。

神奈川県三浦市にある松輪漁港から店名をつけた京ばし松輪さん

神奈川県三浦市にある松輪漁港から店名をつけた京ばし松輪さん

三浦半島の松輪漁港に水揚げされる魚を直接買い付けているのがこちらのお店の強み。昼はアジフライ定食(1,300円)のみで、夜は魚を中心にした割烹のお店になる。

まずはご主人にお話をうかがってみよう。

店主の田中平八郎さん。前オーナーに誘われ、京ばし松輪を創業したのは2002年の秋

店主の田中平八郎さん。前オーナーに誘われ、京ばし松輪を創業したのは2002年の秋

──ランチタイムのアジフライ定食、人気ですね。創業当時からやってらしたんですか?

「いえ、最初はお昼はやってなかったんですよ。常連のお客様からお昼もなにかやってくれというので、店を構えて1年後にはじめました」

──なぜアジフライだったんでしょう?

「アジフライってほとんどの人が食べたことのあるものじゃないですか。だから、ほかの店のアジフライと比較しやすいんじゃないかと思ったんですよ」

──アジフライの人気の秘密は?

「鮮度の良さでしょうか。うちには水揚げしてすぐの魚が入るので。ただ、そのまますぐに調理してもおいしくないんです。10時間ほど寝かせると身がしまるんですね。それを高温でさっと揚げるんです。揚げたてはまだ半生、ご飯を盛り付けてお客様の前に出すときに余熱で火が入って仕上がるようにしています」

アジフライが有名なお店だけど、これまで店外に出したことはないそう

アジフライが有名なお店だけど、これまで店外に出したことはないそう

──なぜ、京橋でお店を開こうと思われたんですか?

「もともと横須賀で店をやってたんですが、この店の元のオーナーに誘われる形でここでいっしょに店を立ち上げたんです。京橋って、銀座でもないし、日本橋でもないってかんじ。やっぱりオフィス街ですかね」

──ここは銀座線京橋駅の出口からすぐですよね。

「以前はもっと近かったんですよ、出口が。だから店の場所を伝えるのに『銀座線の2番出口から上がって左に60歩』って言ってたんですけど、今はそれより、少しだけ増えてますね(笑)」

「はい、できましたよ」と田中さん。何を提供していただいたかはまだ内緒です

「はい、できましたよ」と田中さん。何を提供していただいたかはまだ内緒です

こちらでは、とっておきの一品に加えて、その脇役もいただきました。くわしい内容はもう少し待ってね。

ミシュランも認めた洋食・フレンチの『レストラン・サカキ』

さて、お次は宝町にある『レストラン・サカキ』さんへ。オフィス街の裏通りにあるお店。青いファサードが目印。

1951年(昭和26年)創業の『レストラン・サカキ』

1951年(昭和26年)創業の『レストラン・サカキ』

お昼は洋食、夜はフレンチというスタイルで営業しているレストラン・サカキさん。おいしくてリーズナブルなランチには定評があり、開店前から長い行列ができている。

店主の榊原大輔さんは、国内のフレンチレストランで修業した後、南フランスのフレンチレストランで働いた経験が。帰国後、2003年に実家である今のお店の4代目になったそう。だから、お昼は昔ながらの洋食スタイル、夜は本格フレンチというスタイルになっているんだとか。

2003年より4代目として実家の『レストラン・サカキ』のシェフとなった榊原大輔さん

2003年より4代目として実家の『レストラン・サカキ』のシェフとなった榊原大輔さん

──榊原さんは京橋生まれの京橋育ち。生粋の京橋っ子だそうですが、京橋の街は変わりましたか?

「変わりましたねぇ。店の裏には公園があったんですけど、それもビルに変わったりとか。同級生なんかもうほとんど引っ越してしまって、この町にはいないです」

──銀座線の思い出というと?

「中学、高校と通学で使ってましたね。あと、子供のころは、京橋駅の銀座口と明治屋口の間にある長い通路で鬼ごっこなんかをやってました」

それでは、さっそく調理に取り掛かっていただきましょうか?

今回はお弁当ということで、店で出す料理とは少し違い、ひと手間かけていただいたようだ。そのあたりは、またのちほど。

──お料理で心がけていることはなんでしょう?

「そうですね、ぶれないってことでしょうかね。奇抜なことなどするんじゃなくて、オーソドックスにいい素材のものをお出しするっていうことでしょうか。自分も食べることが好きなので、自分がおいしいと思うものを出しています」

──『ミシュランガイド東京2015』にビブグルマンとして掲載されましたが、その影響などはいかがでしょう?

「そういうことがあっても、ぶれないことですね(笑) なにも変わらないです」

「はい、完成です」と榊原シェフ。おいしそうな香りが漂っております!

手打ち蕎麦と鴨料理の『京橋 紅葉川』

最後に訪れたのは先ほどの『レストラン・サカキ』さんと同じ通り、130mほど歩いた場所にある『京橋 紅葉川(もみじがわ)』さん。こだわりの石臼挽きの自家製粉を使った手打ち蕎麦、鴨料理、鮮魚などが味わえる日本料理店だ。

創業は2002年(平成14年)の9月だそう

創業は2002年(平成14年)の9月だそう

手打ち蕎麦と鴨料理のお店なので、当然のようにランチ時は鴨せいろや鴨南蛮が人気。夜は宴会のお客さんも多く、お料理だけではなく、お酒もいろいろと用意されているとのこと。

店主の柴田隆司(たかし)さんが迎えてくれた。

実は顔出しするのははじめてだという柴田さん。これまでネットなどに顔は載せていないそう

実は顔出しするのははじめてだという柴田さん。これまでネットなどに顔は載せていないそう

──お店の名前の由来が店内に貼られていますね。日本橋を流れる日本橋川と京橋の下を流れる京橋川というのがあって、そのふたつの川を結んでいたのが楓(もみじ)川で、その名前をとってお店の名前をつけたんですね。

「その川があったのは、本当ですけど、理由は後付けですね(笑)。私、日本橋の紅葉川さんで、10年間働いていたので、それで名前をいただいたんです」

──なぜ京橋でお店を出されたんですか?

「銀座というとどうも、あまり好きじゃなくて。かといって、日本橋だと、前働いていた店から近いし、それでまあ、京橋ならいいかなと思って決めたんです」

では、さっそく調理をしていただきましょうか。

包丁を持つと料理人の顔に

包丁を持つと料理人の顔に

──今日は、お弁当に提供していただくは何品でしょう?

「4品ほど用意いたします。お店で出すものとは違って、お弁当用にアレンジしますよ」

なんと4品もご提供いただいた『京橋 紅葉川』さん。ありがとうございます

なんと4品もご提供いただいた『京橋 紅葉川』さん。ありがとうございます

京橋駅の駅員さんに食べてもらいましょう!

提供いただいたお料理を曲げわっぱにつめこみ、いざ、駅へ!

東京メトロ京橋駅で働くおふたりに試食してもらおう。お腹を空かせて来てくれたようだ。

 

内村勝典助役(左)と松村翼2級駅務係(右)

内村勝典助役(左)と松村翼2級駅務係(右)

左側の内村さんは昭和60年入社の助役さん。そして、入社4年目の松村さんは駅の改札やホームで働いている。

──おふたりは駅弁はお好きですか?

松村「好きですね。一人旅が好きでよく出かけるのですが、思い出深いの駅弁は北海道のいかめし。おいしかったです」

内村「私も駅弁けっこう食べますよ。印象に残っているのはどこかのステーキ弁当、紐を引っ張ると温かくなるやつです。あれを食べたときは感動しましたね」

──おふたりはお弁当で苦手なおかずってあります?

内村・松村「ありません!」

──逆に好きなおかず、これが入っててほしいってものはありますか?

松村「僕は甘い卵焼きですね」
内村「私はだし巻き卵です」

おお、なんだかいい予感しかない。それでは、お弁当をどうぞ!

 

これが銀座線京橋駅のドリーム駅弁だ!

これが銀座線京橋駅のドリーム駅弁だ!

左側ゾーンが『レストラン・サカキ』さんご提供のハンバーグ、目玉焼き、ナポリタン、マッシュポテト。実はこの下にライスが。
中央ゾーンは『京橋 紅葉川』さんご提供のだし巻き卵、鴨焼き、鰆の西京焼き、菜の花の辛し和え。
右側ゾーンが『京ばし 松輪』さんご提供の、アジフライ、大根おろしに、わさび。おまけに骨せんべいも。

内村・松村「いただきます!」

 

ドリーム駅弁を目の当たりにして、思わず笑みがこぼれる2人

ドリーム駅弁を目の当たりにして、思わず笑みがこぼれる2人

それでは、年功序列で内村さんから、いってみましょうか。お好きなモノからどうぞ。

内村「これ気になりますねぇ。アジフライ」

 

まず、内村さんがチョイスしたのは、アジフライ!

まず、内村さんがチョイスしたのは、アジフライ!

こちらのアジフライは『京ばし 松輪』さんのだと伝えると、「ああ、あの行列ができているお店」と内村さん。駅周辺の行列店はやっぱりご存知だったか。

 

「えっ、この大根おろしとわさびとで食べるの。こりゃおいしいアジフライですね」(内村さん)

「えっ、この大根おろしとわさびとで食べるの。こりゃおいしいアジフライですね」(内村さん)

『京ばし 松輪』のご主人、田中さんによれば、オフィス街でランチに揚げ物を食べると、午後から胃がもたれるという話を聞き、大根おろしと一緒に提供することを思いついたそう。また、わさびもいいアクセントになっている。

さて、松村さんが最初に箸をのばしたのは、『レストラン・サカキ』さんのハンバーグ。

松村さん、少々控えめにハンバーグをひと切れ
「どうよどうよ」と内村さん、松村さんの感想が気になる様子。

味の感想は......

味の感想は......

ほころぶ顔を見ればわかる!

ほころぶ顔を見ればわかる!

こちらのハンバーグは、お弁当用に榊原シェフがアレンジしてくれたもの。冷めてしまうと硬くなるので、肉に対して5%ほどマヨネーズを入れているのだとか。そうすると、冷めても柔らかさがキープできるそう。肉の割合は牛3:豚1で、牛脂も入っています。つなぎは少な目。

「このデミグラスソースがおいしいですね」と松村さん、さらにハンバーグを攻める。おふたりとも箸が止まらない。

「目玉焼きといっしょに食べるのもおいしいです」と松村さん。

それを聞いて「ハンバーグいきます」と内村さんが宣言。その横で松村さんは鴨焼きを口に運んでいる。

鴨焼きを食べた松村さん「やばいですね」とひとこと

鴨焼きを食べた松村さん「やばいですね」とひとこと

『京橋 紅葉川』さんにご提供いただいた鴨焼き。普段なら焼くだけなのを、お弁当ということで、蒸してから焼いてくれた。そうするとただ焼くだけよりも、冷めたときのパサつきを抑えられるのだそう。

ひと通り食べたところで、おふたりに好きなものを教えてもらうと、結果はなんと、同じもの!

おふたりともだし巻き卵がいちばんのお気に入り!!

おふたりともだし巻き卵がいちばんのお気に入り!!

『京橋 紅葉川』さんのだし巻き卵は、冷めてもおいしく食べられるように、お店で出すものよりも、少々甘めにつくられているそう。

味の感想を言いながらも箸が止まらないおふたり

味の感想を言いながらも箸が止まらないおふたり

あっという間に完食です。

京橋の名店に協力いただき、京橋のドリーム駅弁も夢のようなものに仕上がりました。さて、次回はどこの駅の駅弁かな?

取材協力
京ばし 松輪
東京都中央区京橋3-6-1 秋葉ビル B1F
電話03-5524-1280

レストラン・サカキ
東京都中央区京橋2-12-12 サカキビル1F
電話03-3561-9676

京橋 紅葉川
東京都中央区京橋2-8-10 丸茶ビル 1・2F
電話03-5524-5266(予約専用)

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