リニューアルで次の時代への「架け橋」となれ、日本橋駅!【工事の進捗いかがですか?】

銀座線リニューアル工事の現場に潜入し、その進捗をお伝えしている「工事の進捗いかがですか?」。久しぶりの第8弾となる今回は日本橋駅にやってきました。銀座線はもちろん、東西線などの乗換駅として、多くのお客様が利用される日本橋駅。いったいどんな姿に生まれ変わろうとしているのでしょうか?

江戸時代は五街道の起点として賑わい、今も百貨店や多くの老舗が建ち並ぶ「日本橋」。
全国はもちろん、世界各国から多くの人が訪れます。

そんな日本橋駅のリニューアル工事は、どのように進んでいるのか? 工事を統括する東京メトロ工務部の木村 充宏さんにご案内いただきました。

日本橋らしく「橋の面影」が感じられる駅に!

リニューアルに当たって、日本橋駅のデザインコンセプトは、日本橋にちなんだ「橋の街」。
特に銀座線では、「橋の面影」が感じられるような、賑わい・活気のある空間がイメージされており、5つのポイントが重点的に工事されています。

  1. 床・壁・天井をきれいにする
  2. エスカレーターを新設する
  3. エレベーターを新設する
  4. 照明を明るく、やわらかい雰囲気のあるLED照明にする
  5. 案内看板を分かりやすくする

そんなコンセプトをいち早く体感できる場所があるとご案内いただいたのは...?

article_img_18091401_01.jpg

銀座線・日本橋駅の「高島屋方面改札」です。2018年6月の終わりに、改札口周辺が美しくリニューアルされました。確かに「銀座線」を案内する看板も、シンプルで分かりやすいものになっています。改札の上に設置された照明も、明るい雰囲気に。真下を照らすだけでなく、横にもやさしい光が届く工夫があるのが嬉しいですね! 床も滑りにくい素材に改められました。

article_img_18091401_02.jpg

通路も照明により日本橋らしい、趣のある雰囲気をグッと醸し出しています。
でも、このようにリニューアルされている場所は、まだまだ一部。今(2018年8月現在)、最大の難関が、通路のスグそばにありました!

エスカレーター・エレベーターの新設で、より使いやすい駅に!

article_img_18091401_03.jpg

それはエスカレーターの設置工事。高島屋方面改札から2番ホーム(上野・浅草方面行)に下りる階段で行われていました。実はエスカレーターの設置は、単に階段を半分閉鎖しただけでできるものではありません。エスカレーターは、階段(ステップ)の部分がループ状のチェーンに連結し、モーターでくるくる回る仕組みです。そのため、上まで昇ってきた階段(ステップ)が、内部でぐるっと裏返って下に戻る設備を作る必要がありますから、従来の階段の下に新たな建造物を作る必要があるんです。

特に銀座線の場合は、多くの駅が昭和初期に作られたこともあり、狭い階段が多く、エスカレーターを設置できるスペースを持った駅も限られています。日本橋駅の場合は、昔から利用者が多く、駅自体が比較的大きめに作られていたことが幸いし、ホームと改札を結ぶエスカレーターの設置が可能になったのだそう。駅が快適になれば、きっと街への足取りも軽いものになりますよね!

article_img_18091401_04.jpg

そしてもう1つ、これから難工事になりそうな場所としてご案内いただいたのが、1番ホーム(銀座・渋谷方面行)の東西線乗り換え通路付近。今はまだ何もない通路があるだけですが、リニューアル後はココに地下1階へ向かうためのエレベーターが設置され、東西線への乗り換えが便利になる予定です。

なお、1番ホームでは、先ほど紹介した高島屋方面改札へのエレベーターも設置されることになっています。

日本橋駅ホームは、およそ35年ぶりの大リニューアル!

ホームでも軌道*1内の壁の取り壊し作業をはじめとしたリニューアル工事が進行しています。銀座線・日本橋駅のホームは、ちょっとユニークな形。昔の日本橋駅は、いわゆる「島式ホーム」で、1本のホームの両側に銀座・渋谷方面行き、上野・浅草方面行の列車が発着していました。

article_img_18091401_05.jpg

赤枠内はかつてホームで、この両側に銀座・渋谷方面行き、上野・浅草方面行の列車が発着していた

しかし、お客様の増加に伴って、営団地下鉄時代の1984(昭和59)年4月)に「変則相対式ホーム(2面2線)」に改修。新たに渋谷方面行き専用ホーム(現在の1番ホーム、画像手前)が作られ、それまでのホームは浅草方面行の専用ホーム(現在の2番ホーム)となりました。

article_img_18091401_06.jpg

島式ホームから変則相対式ホーム(2面2線)へ

今回の日本橋駅リニューアル工事は、2016年から行われている銀座線「全駅リニューアル」工事の一環。およそ35年ぶりと言ってもいい大がかりなものとなっているのです。

article_img_18091401_07.jpg

2番ホーム(浅草方面行)の軌道内では、工事用の移動式足場・メトロステージを使いながら、作業員さんの手で壁の取り壊し作業が行われていました。壊した壁は、一度仮囲いの中で保管し、翌日以降に人力で駅の外へ搬出されます。深夜とはいえ、熱帯夜も多いこの夏、作業員の皆さんのご苦労が伺えます。

ちなみに、この壁、ただ壊している訳ではありません。実は日本橋駅は日本橋川のすぐそばということもあり、漏水が無いかどうかチェックしながら壁を壊しているのです。もしも漏水している場合は、東京メトロの各工事関係部署と連携しながら、リニューアル工事と、止水(漏水を止める)作業を並行して行う必要があるそうです。

article_img_18091401_08.jpg

一方、ホームの柱の中からは、筆文字の「日本橋」が現れました。銀座線の浅草~新橋間は、鉄鋼框(かまち)構造*2を採用した貴重な土木構造物ということで、「土木遺産*3」にも認定されており、リベット*4付きの鉄骨が至る所で見られます。リニューアル工事では、このようにタイムカプセルを開けるような発見もあるのです。

工事が完成すると、ホームの壁は木彫タイルに、天井も木目調の仕上げが施され、江戸時代の橋を想起させるような温かみのある空間となっていきます。

*1 軌道...鉄道の線路のうち、路盤の上にある構造物を総称したもの
*2 框(かまち)構造...柱と梁を格子状に組み、その接合部を固定している構造のこと
*3 土木遺産...明治時代から昭和の初期につくられ、現存する生活基盤施設のこと。公益社団法人 土木学会認定。
*4 リベット...鉄骨と鉄骨を接合する部品のこと

仮囲いの向こうに、昔の日本橋駅の面影が...!

article_img_18091401_09.jpg

さあ、ひと足先に壁を壊したという、コンコースの仮囲いの向こうには、どんな景色が広がっているのでしょうか?

木村さん、開けていただけますか?

article_img_18091401_10.jpg

おそらく、開業当初から使われていたのではないかと思われる「昔の壁」が出てきました。
日本橋駅の開業は、1932(昭和7)年のこと。折しも、白木屋*5の火災をきっかけに、一般市民にも洋装が広まり始めた時期。

いわゆるモボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)と呼ばれた、当時の若い世代の皆さんが、開業したばかりの地下鉄の通路を、颯爽と歩いて行ったのでしょうか。歴史ある駅は、そんなロマンをも感じさせてくれます。

*5 かつての百貨店。後に東急百貨店日本橋店となった。現在は「コレド日本橋」がある。

大所帯で進む日本橋駅のリニューアル工事!

article_img_18091401_11.jpg

日本橋駅では、銀座線と合わせて、東西線の駅のリニューアル工事も行われています。銀座線の工事だけでもおよそ60人から70人体制で行われていて、毎日が「総力戦」の様相だといいます。

統括する木村さんも、工事に携わる人数の多さに最初は正直、面食らったといいますが、今ではそのプレッシャーが、「この仕事を任せて貰える誇り」に変わってきたそうです。
エスカレーター・エレベーターをはじめ、多機能トイレの設置なども行われている日本橋駅。より便利で快適な駅を目指して、リニューアル工事はまだまだ続きます。

article_img_18091401_12.jpg

こちらは現在の日本橋駅の出入口。リニューアル後は銀座線の商業エリア(三越前駅、日本橋駅、京橋駅)3駅共通の"ギフトボックス"をモチーフとしたデザイン生まれ変わる予定です。

article_img_18091401_13.jpg

日本橋駅を含む商業エリアの出入口 完成イメージ図

かつて江戸時代の日本橋にかかっていた橋の面影を感じながら、プチ・タイムスリップ気分が楽しめそうな、リニューアル後の日本橋駅。このリニューアルは、きっと次の時代に向かう、新たな「架け橋」となるはずです。

2020年に生まれ変わる日本橋駅の完成をお楽しみに!

日本橋駅:2020年3月リニューアル完了(一部除く)

2018年9月14日時点

望月崇史(もちづきたかふみ)

書いたひと:望月崇史(もちづきたかふみ)
1975年静岡県生まれ。放送作家。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら好きな鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。
タグ

RANKING