通路の高級感が凄い! すでにアートの香りが漂う京橋駅【工事の進捗いかがですか】

銀座線リニューアル工事の現場に潜入し、その進捗をお伝えしている「工事の進捗いかがですか?」。第9弾は、京橋駅にやってきました。日本橋と銀座の間で、歴史的な建造物と再開発による新しいビルが共存し、その新旧の街並みから歴史の移ろいが感じられる「京橋」。いったいどんな駅に生まれ変わろうとしているのでしょうか?

江戸時代、日本橋から東海道で京都に向かう時、最初に架かっていた橋にちなんだともいわれる「京橋」。明治時代には東京では初めての「ガス灯」が灯され、昭和になると京橋川は埋め立てられて高速道路ができるなど、時の流れに合わせてさまざまな変化を遂げてきました。また、数多くのギャラリーが立ち並ぶアートの街としての顔も持っています。

そんな京橋駅のリニューアル工事は、歴史と芸術の移ろいを楽しむ「時のギャラリー」をコンセプトに進められています。現在工事はどのように行われているのでしょうか。その現場を、東京メトロ工務部の阪本徹(さかもと・とおる)さんに案内していただきました。

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ガス灯発祥の地にふさわしい、柔らかい光に包まれる出入口

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2017年から始まった京橋駅のリニューアル工事。進捗状況はまだ全体の2~3割だそうですが、まずは駅の出入口をご案内いただきました。中央通りと鍛冶橋通りが交差する京橋交差点の一角に大きなクレーンが据えつけられ、銀座方面改札に繋がる京橋駅1番出入口の工事が行われています。
閉鎖されている1番出入口の通路はどうなっているのでしょうか? 地下から特別に見せていただきました。従来のタイルが剥がされ、コンクリートがむき出しになった状態となっています。

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では、ひと足先に出来上がった4番出入口は...?

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ひと足先に完成し、供用が開始している4番出入口がこちら。京橋駅、日本橋駅、三越前駅からなる商業エリアの出入口は共通で、「積み重ねられた時・物・心を大切に詰める"ギフトボックス"」をモチーフにしたものとなっています。

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出入口に近寄ってみますと、京橋駅の特徴であるガス灯を彷彿とさせるような柔らかい明かりがあしらわれています。歴史ある街らしく、光にも上品さが感じられますね。京橋駅の出入口は全部で8カ所あり、うち4カ所がこのギフトボックスタイプの出入口となる予定です。

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さらに、通路の中を見せてもらうとイタリア製の上品な黒いタイルが壁に使われていました。それは、地下鉄の駅というよりも、まるで美術館に続くかのような雰囲気。じつはこのタイルをこれほどの大きさで使うケースはあまりないのだとか。加えて、上からの明かりだけでなく、壁の下の間接照明が、柔らかい光の空間を演出しています。

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阪本さんの顔も、ちょっと誇らしげですね!

天井裏にも隠れていた「時のギャラリー」

京橋駅は、地下1階が改札のあるコンコース階、地下2階がホーム階となっています。改札は、銀座方面改札と日本橋寄りの明治屋方面改札の2カ所があり、それぞれの改札は、地下1階のコンコースの自由通路で行き来できる形になっています。

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まさに工事のヤマ場を迎えつつあるという、その通路に設けられた仮囲いのウラ側を、阪本さんに見せていただきましょう!

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鉄鋼框(てっこうかまち)構造*1と緩やかな曲線を描いた天井...そこには銀座線が出来た昭和初期の雰囲気が漂っていました。阪本さんもこの天井の曲線には当初目を見張ったそうですが、「空調や配電設備などを通すスペースに充てられるため、リニューアル後はすっきりとしたフラットな天井になる予定です」とのこと。京橋駅の天井もまた、隠れた「時のギャラリー」と言えるのかもしれません。

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ちなみに、これまでこの場所には駅事務室がありましたが、ひと足先に移転を完了。新たにコンコース階とホーム階を結ぶ階段が設けられる予定です。現在は、ホーム階の天井に穴を開ける前の補強工事が行われています。

*1 鉄鋼框(てっこうかまち)構造とは、柱と梁を格子状に組み、その接合部を固定している構造のこと。

柔らかい光が灯るプラットホームに!

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地下2階のホーム階に下りると、新旧の駅名標が併存する珍しい光景が。既に従来の壁を撤去する作業は終わり、新たな電飾看板を設置する工事が行われていました。タイルの壁から、ガラスとアルミパネルを使った落ち着いた色合いの壁に変貌しようとしています。

なお、リニューアル工事後のホームには、ガラスのショーウィンドーをイメージした柱が立ち並び、柱にガス灯のような柔らかい照明が設けられ、温もりあふれる空間が広がる予定です。

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ホームではホームドアの設置に合わせ、より滑りにくいタイルに貼り換える工事も並行して行われていました。京橋駅では、ひと晩におよそ30~40人の方が作業を行っています。他の駅のリニューアル工事と同様、3~4時間の限られた時間でその日の作業を完了する必要があるため、事前に綿密に計画を立てた上で、工事が行われています。

限られたスペースを有効活用して搬出作業を効率化!

取り壊した壁や交換したタイルなどは、一時的に仮囲いの中に置き、夜間の作業中に駅の外に搬出する作業が行われています。阪本さんによると、京橋駅の工事で特に苦労しているのは、工事用の資材置き場だそう。京橋駅はそれほど広くないため、仮囲いの中に棚を設置し、立体的に資材を置く工夫をして、何とか乗り切っているといいます。

そのほか、ひと足先にリニューアルが進んでいる明治屋方面改札周辺の工事では、駅と直結している店舗と通路の閉鎖期間をいかにして短くするか、調整する必要があったそうです。お店への影響を最小限に抑えながら、工事を最大限、効率的に進めていく必要があります。こうしたリニューアル工事の苦労は商業エリアならではといえるでしょう。

リニューアル後の京橋駅を象徴する存在として期待されている、ガス灯をモチーフとした柱の工事はまだまだこれからとのことでしたが、2020年には「時のギャラリー」として生まれ変わり、私たちを迎えてくれる予定です。新しい京橋駅の完成をどうぞお楽しみに!

京橋駅:2020年7月リニューアル完了(一部除く)

2018年9月27日時点

望月崇史(もちづきたかふみ)

書いたひと:望月崇史(もちづきたかふみ)
1975年静岡県生まれ。放送作家。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら好きな鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。
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