銀座線の発車サインはなぜブザーからメロディに変わったの?発車合図メロディの秘密に迫る!【銀座線探偵団】

地下鉄を利用していると車両が発車する際にホームに響き渡る「発車合図メロディ」。最近は、駅ごとにオリジナルメロディや誰もが一度は聞いたことのある曲をアレンジしたものなどが増えています。実は、銀座線も発車合図メロディ音にこだわっている路線のひとつ! 今回は銀座線の「発車合図メロディ音」の秘密についてご紹介します。

もっと愛される銀座線を目指して。「発車合図メロディ」が生み出す愛着

銀座線で発車サインの音がブザーからメロディに変わったのは2012年の10月。最初に導入されたのは浅草駅、上野駅、銀座駅、溜池山王駅の4駅でした。2015年5月には田原町駅、稲荷町駅、上野広小路駅、末広町駅、神田駅でもメロディの導入が決まり、2018年12月現在も導入駅はさらに増えています。

東京メトロは、地下鉄を利用するお客さまにとって、耳に入ってくる音は心理的にさまざまな影響を及ぼすものであり、駅空間における重要な要素のひとつであると考えています。

「もっと愛される銀座線を目指して」そんな想いが、銀座線の発車合図メロディにも活かされています。

たとえば、銀座線の浅草駅で聞くことができるのが、滝廉太郎が作曲した「花」をアレンジした発車合図メロディ。「花」は、浅草駅の近くを流れる隅田川の春ののどかな様子を歌った名曲です。この曲が採用されたのは、地域に合わせたさまざまな曲を導入することで、対象となる駅や車両に愛着を感じてもらいたい、「心地よさ」や「楽しさ」を感じながら駅を利用してもらいたいという想いが背景にあります。

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さらに、銀座線では、浅草→渋谷方面のA線、渋谷→浅草方面のB線で流れるフレーズを異なるものに設定しています。たとえば浅草駅の場合、1番線は「春のうららの 隅田川」の1小節が、2番線は「櫂(かい)のしづくも 花と散る」の1小節が流れる、といった違いがあります。これは、今いるホームが何番線かをお客さまが直感的に認識できるようにすることで、駅の利便性を向上させることを目的としています。

メロディに求められる要素とは?

愛着や心地よさを感じられれば、メロディは何でもよいのでしょうか? 答えはノーです。じつは、発車サインに採用されるメロディには、さまざまな工夫がされています。

■条件1:聞き取りやすさ

まず求められるのは誰にでも聞き取りやすいこと。
ヒトの耳は一般的に20Hz(ヘルツ。音波の振動数)から20,000Hz(20kHz)の音を知覚すると言われています。ですが、加齢に伴って聴力は低下し、特に高音が聞き取りにくくなる傾向があります。そのため、発車合図メロディは、聴力低下の影響を比較的受けにくい2KHz以下の音を基音(もっとも低い音)として、製作しています。

また、環境音(周囲の音)の影響を受けにくいことも、聞き取りやすさを決める上で重要になってきます。
反対線の車両の到着や発車音、人が集まることによるノイズや音のこもり、ホーム上の他の音サインなどが存在する環境の中でもメロディ認識ができるようにしなければなりません。このため、比較的環境の影響を受けにくい700Hz以上の帯域を中心に、簡潔な音づくりを心掛けています。

■条件2:運用面における安全性

発車サインは、電車の発車をお知らせすることが本来の目的であるため、採用メロディには安全性も求められます。
具体的には、「はじめて聴く人にとっても曲の終わりがはっきりと感じられる」「扉が閉まるタイミングが直感でわかる」といったことが求められます。また、テンポも重要で、極端な例になりますが、テンポが速い傾向のあるヘヴィーメタルの楽曲などは駆け込み乗車を助長してしまう可能性があるため、発車サインのメロディには向いていません。

■条件3:快適性・愛着

3つめの条件は、お客さまがメロディに快適さや愛着を感じられるかどうか。通勤・通学等により毎日、繰り返し発車合図メロディにふれるお客さまがいることを前提に、長期間・繰り返し聞いても不快や苦痛に感じないメロディであることが求められます。
また、銀座線は「地域の皆様に愛される路線であり続けたい」という想いを持った路線であるため、地域や街のイメージを想起させる、愛着が生まれるようなメロディであることも重要と考えています。たとえば銀座駅では、銀座を舞台にした有名な映画の主題歌「銀座カンカン娘」が発車合図メロディとして採用されています。

東京メトロでは銀座線以外でも丸ノ内線、日比谷線、有楽町線、南北線、東西線、副都心線、千代田線など各線で発車合図メロディが導入されており、2018年9月には半蔵門線でも三越前駅半蔵門駅にて発車合図メロディが導入されました。導入駅は今後も拡大していく予定とのこと。今後、駅のホームでどんなメロディが聞けるのか、ぜひ聴いてみてくださいね。

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