渋谷駅がホーム移設でもっと便利に!2009年から行われてきた「渋谷駅リニューアル工事」の変遷を振り返る

2019年12月27日(金)終電後から2020年1月3日(金)早朝にかけて、東京メトロ銀座線では3回目となる線路切替と、ホーム移設工事を実施します。工事後の2020年1月3日(金)の始発から銀座線渋谷駅新駅舎が利用できるようになりますが、そもそも銀座線渋谷駅では、なぜ工事が行われているのでしょうか? そして、これまでどんな工事が行われてきたのでしょうか? 今回は、2009年から行われてきた「渋谷駅リニューアル工事」で、線路切替工事を担当してきた東京メトロの皆さんにお集まりいただき、これまでの工事の変遷を伺いました。

営業列車を走らせながらの難工事に挑む!!

今回お話を伺うのは、これまでの線路切替工事を指揮してきた東京メトロ改良建設部の3名の方々です。

営業列車を走らせながらの難工事に挑む!!

第1回線路切替工事(2016年11月実施)担当:藤内邦彦(とうない・くにひこ)さん(写真右)
第2回線路切替工事(2018年5月実施)担当:下野順也(しもの・じゅんや)さん(写真左)
第3回線路切替・ホーム移設工事(2019年12月~2020年1月予定)担当:南立修(なんだて・おさむ)さん(写真中央)

まずは、第1回線路切替工事を担当し、渋谷駅の工事に長く携わった藤内さんから、渋谷駅の工事の概要を簡単に説明してもらいました。

―そもそも、なぜ「渋谷駅」は工事しているのでしょうか?

藤内 工事の目的は、「安全性」の向上、「利便性」の向上、「快適性」の向上、この3つです。銀座線渋谷駅は、1938(昭和13)年の開業以来、大規模な改修は行われてきませんでした。理由は、駅が百貨店の中にあり、東京メトロ単独では工事が困難だったからです。開業以来80年あまりの歳月の間に、渋谷駅に求められるニーズも大きく変化しました。10年ほど前から、渋谷駅周辺再開発事業と連携して、ホームを現在の位置から表参道方面へ約130m移設する、駅の大規模改修工事に着手しました。

営業列車を走らせながらの難工事に挑む!!

第1回線路切替工事を担当した藤内邦彦さん

―「渋谷駅」の工事は2009(平成21)年に始まったそうですが、そこから10年もの時間がかかっているのはなぜでしょうか?

藤内 理由は2つあります。まず、銀座線の営業をできる限り止めずに、営業終了後などの限られた時間で工事を行ってきたためです。加えて、いま線路が通っている場所に、新しい橋脚や橋げたを作る必要があるからです。そのため、列車の安全運行に配慮し、細心の注意を払いながら、高架橋や軌道(線路)などを全て仮設の状態に置き換えるところから始まりました。

営業列車を走らせながらの難工事に挑む!!

現在線路が通っている場所に新しい橋脚・橋げたを設置するため、列車の安全運行に配慮して慎重に工事を行う必要があった

藤内 営業列車を走らせたまま、慎重に作業を進めました。少しずつ古い構造物を新しい構造物に置き換えながら、線路切替までの準備に約7年、2016(平成28)年までかかりました。これを受けて、同年の11月に1回目の銀座線一部区間運休を伴う線路切替工事が行われたわけです。

―線路切替工事では、どのようなことが行われたのですか?

藤内 明治通りの上空付近の線路を、南側(恵比寿寄り)へ移設する工事が行われました。これによって元の高架橋の一部を撤去することが可能となり、北側(原宿寄り)に"橋げた"を作るためのスペースが生み出されたのです。

参考:【53時間工事タイムラプス】銀座線が運休!そのとき駅では一体何が!?

将来のホームとなるスペースを作りながら、勾配も緩和していた2回目の線路切替!

―銀座線渋谷駅の2回目の線路切替は、2018(平成30)年の5月に行われました。この時は、下野さんが工事を担当されていたそうですが、どのような変化があったのでしょうか?

将来のホームとなるスペースを作りながら、勾配も緩和していた2回目の線路切替!

第2回線路切替工事を担当した下野順也さん

下野 銀座線渋谷駅は現在乗車と降車のホームが別々になっていますが、新しい渋谷駅では、同一ホームで乗り降りできる「島式」ホームを設ける予定になっています。

将来のホームとなるスペースを作りながら、勾配も緩和していた2回目の線路切替!

下野 この島式ホームを設けるスペースを作るため、2回目の線路切替工事では、浅草方面行きの線路をより北側(原宿寄り)へ、渋谷駅に到着する列車が走る線路を、より南側(恵比寿寄り)へ移設しました。

参考:【工事終了】未来をつくる「銀座線運休」。2018年5月3日~5月5日、銀座線は渋谷~表参道駅間、青山一丁目~溜池山王駅間を運休します

将来のホームとなるスペースを作りながら、勾配も緩和していた2回目の線路切替!

下野 あわせて、これまでの銀座線渋谷駅は列車が33パーミルの勾配(1000メートル進むと33メートル登ることになる坂)を登ったのち、少し下ったところで渋谷駅のホームに停車する構造となっていました。この勾配のままでは、規定上、列車を停車させることができないため、平面の線路切替とあわせて、縦断勾配を変更しました。

―新しい渋谷駅では、島式ホームになることで、より安全で便利になると言われていますが、どうしてそのようになるのでしょうか?

下野 これまで銀座線渋谷駅では、ホームの幅が狭く、通勤ラッシュ時間帯などでは乗車ホームにお客様が入り切れず、改札の外まで行列ができていました。また、百貨店の中を通らないと銀座線から他の路線に乗り換えることが出来ない構造になっていたため、複雑な経路で乗り換えせざるを得ませんでした。

島式ホームへと生まれ変わることでホームの幅が広がり、年末年始の工事後の対応となりますが、2020年度内にはホームドアも設置されますので、より快適に、安全に列車をお待ちいただくことができます。加えて、経路が整理されるため他社線への乗り換えも分かりやすくなります。また、バリアフリー設備として多機能トイレを整備し、2020年度内にエレベーターが整備される予定です。

いよいよ年末年始、3回目の線路切替工事へ!

―これから迎える年末年始、南立さんが現場責任者として渋谷駅で3回目の線路切替・ホーム移設工事が行われますが、具体的にどのような作業を行うのですか?

いよいよ年末年始、3回目の線路切替工事へ!

第3回線路切替・ホーム移設工事を担当している南立修さん

南立 今回は、線路を切り替えるだけでなく、6日間で新しい渋谷駅ホームを作る工事も一気に行います。新たな島式ホームの仕上げは仮設ですが、その下の鉄骨部分などは恒久的なものになります。大まかな6日間の工事の流れは以下の通りです。

<前半3日間の工事>

いよいよ年末年始、3回目の線路切替工事へ!

<後半3日間の工事>

いよいよ年末年始、3回目の線路切替工事へ!

南立 6日間のうち、前半3日で線路を撤去・移設する工事を行います。そして後半の3日で、新しい駅を作り上げていきます。

―今回の工事、ヤマ場はいつですか?

南立 現在の線路を撤去し、撤去した場所にホームの鉄骨を組み立て、その上に工場で製作したコンクリート版を敷き並べて組み立てるところです。もちろん、極めて少ないのですが事前に作ることができる分は作っておきます。このホームができないと、ホームに必要な設備(案内板やベンチなど)を設置することができません。工事のピークは12月31日の大晦日ごろになる見込みです。渋谷は谷地形のため、強風が吹くとビル風が強くなって、クレーンを使った工事に影響が出ますので、穏やかな冬晴れになってくれることを祈っています。

いよいよ年末年始、3回目の線路切替工事へ!

―工事に向けての意気込みを聞かせて下さい。

南立 今回、曜日配列やお客様への影響を最小限に抑えるべく、さまざまなシミュレーションを行って、年末年始に6日間、銀座線の一部区間を運休させる形で、工事を行うこととなりました。お客様には大変ご迷惑をおかけしますが、年明け1月3日(金)の始発からは新ホームが供用開始となり、明治通り側の出入口を新たにご利用いただけるようになります。この6日間は私たち3人も現場で工事を指揮し、滞りのないように工事を進めていきます。ぜひ、新しい銀座線渋谷駅、そして変わっていく渋谷の街にご期待ください。

銀座線・終日運休のお知らせ

いよいよ年末年始、3回目の線路切替工事へ!

この銀座線渋谷駅移設に伴う線路切替・ホーム移設工事のため、東京メトロ銀座線は、2019年12月28日(土)~2020年1月2日(木)の6日間、渋谷~表参道駅間、青山一丁目~溜池山王駅間を終日運休します。

工事期間中、銀座線は表参道~青山一丁目駅間、溜池山王~浅草駅間で折返し運転を実施し、東京メトロ、都営地下鉄、JR、各私鉄にて振替輸送を実施いたします。銀座線をご利用のお客様には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

望月崇史(もちづきたかふみ)

書いたひと:望月崇史(もちづきたかふみ)
1975年静岡県生まれ。放送作家。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら好きな鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。
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