価値創造プロセス
歴史
東京メトログループの歩みは、1920年、前身である東京地下鉄道株式会社の創立から始まります。創業者である早川徳次の、地下鉄こそが都市の発展に必要不可欠であるという考えのもと、1927年に東洋初の地下鉄を開業しました。1941年には、帝都高速度交通営団が設立され、地下鉄ネットワークを拡充することで東京の発展を支えてきました。
2004年には、現在の東京地下鉄株式会社(東京メトロ)として新たなスタートを切りました。現在では東京都区部を中心に9路線営業キロ195.0km、180駅からなる首都圏最大級の路線ネットワークを有する企業として、お客様の安全を第一に、「たゆみなき『安全』の追求」「お客様視点に立った質の高い『サービス』の提供」に努めています。また、2020年からは「ポストコロナに向けた構造変革・新たな飛躍」としてコスト構造の見直しをはじめ、これまでとは異なる経営環境における事業の持続可能性、企業価値の向上に取り組みました。2024年には東京証券取引所プライム市場に株式上場し、変革と成長にドライブをかけるべく、中期経営計画に基づく各種施策を推進していきます。
主なトピック
- 1927年:東洋初の地下鉄開業
飽和状態だった東京の交通網に対して、「地下鉄こそが、東京の交通事情を改善し、都市の発展に必要不可欠のものだ」という考えのもと、東洋初の地下鉄として浅草~上野間の2.2kmを開業しました。
- 1950年~60年代:高度経済成長とともに路線拡大
1954年の丸ノ内線開業前後は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などが続々と生まれ、地下鉄は新しい生活文化と共に戦後の復興に貢献。1960年代は年間約6kmのペースで新線建設を推進し、1964年の東京オリンピックに合わせて日比谷線を全線開業。また、急増する通勤需要に対応すべく東西線や千代田線も順次開業しました。
- 1970年~1980年代:環境へ配慮した省エネルギー車両の導入
新線の開業・延伸に合わせ、最新技術の導入も積極的に進めました。1971年に千代田線で運転を開始した6000系車両において、「チョッパ制御方式」と「回生ブレーキ方式」を組み合わせた世界初の省エネ車両を導入し、車両の省エネ性を向上させました。
- 1990年代:日本の地下鉄初のホームドア導入
南北線では1991年の開業当初から、各駅にホームドアを設置。ホーム上の安全性向上を図ったほか、「人にやさしい地下鉄」を目指し、エレベーター設置などバリアフリー化も積極的に進め、昨今のバリアフリー整備の推進の先駆けとなりました。
- 2000年代:東京メトロとして新たなスタート
2004年の東京メトロ誕生後、翌年には駅ナカ商業施設「Echika表参道」をオープンするなど、お客様の日常をサポートする関連事業にも力を入れてきました。また、2008年には副都心線が開業し、9路線からなる現在の東京メトロのネットワークが完成しました。
- 2010年代:自然災害対策・バリアフリー整備の推進
当社では従前より、激甚化する自然災害に対応し、首都東京の都市機能を支えるべく、震災対策や大規模浸水対策といった自然災害対策の推進を図ってきました。また、交通事業者としての社会的責務を果たすため、バリアフリー設備の整備も前倒しで進めました。
- 2020年~2023年:ポストコロナに向けた構造変革・新たな飛躍
これまでとは異なる経営環境において事業の持続可能性や企業価値の向上を図るため、コスト構造の抜本的な見直しに取り組むとともに、新線建設、お出かけ需要の創出、都市・生活創造事業等の強化に取り組みました。
- 2024年~:株式上場・さらなる成長への取組み
株式上場を契機に変革と成長にドライブをかけるべく、自然災害対策やバリアフリー化を含めたさらなる鉄道の安全・サービス向上、新線建設の着実な推進に取り組むほか、自動運転等の新技術開発・推進や鉄道需要の創出に加え、まちづくり・鉄道成長にも 寄与する不動産事業をはじめとした都市・生活創造事業の拡大、新たなビジネスの取 組みを推進します
強み
大都市東京に位置する事業エリア
東京メトロの事業エリアである東京は日本の政治・経済・文化の中心地。世界最大級の都市圏と言える東京には、日本のみならず世界中から人々が集まり、東京メトログループにとって多くの事業可能性が秘められています。
- 「東京」のポテンシャル
当社グループが事業基盤とする東京は、世界屈指の政治・経済・文化の中心都市であり、東京都区部の夜間人口は2045年まで安定した増加が見込まれています。また、東京都では新規オフィスビルの開発も活発であり、特に当社が路線を持つ都心5区におけるオフィスビル供給が大半を占めることから、その人流の増加が期待されます。
さらに、訪日外客数は過去最高水準で推移しており、東京に滞在する外国人の数は引き続き拡大傾向であることから、政府の2030年目標である訪日外国人数6,000万人に向けて、今後もさらなる増加が見込まれます。
東京では、当社沿線を中心に今後も複数の大規模複合施設の開業が計画されており、これらの開発が進むことで当社沿線のさらなる人流の増加が期待されます。
- 強みのさらなる強化
東京のポテンシャルをさらに引き出し、自社の成長に確実に結び付けるべく、移動の機会を創出するための施策を推進します。
具体的には、東京の主要な観光施設のチケットと「Tokyo Subway Ticket」とのセット商品「Tokyo City Pass」等企画乗車券の販売強化・新商品開発によるインバウンド施策の推進、クレジットカードのタッチ決済及びQRコード※1を活用した新乗車サービスの展開、メトポ・東京メトロmy!アプリを中心とした顧客接点を活かしたデジタルマーケティングの推進に取り組みます。
また、駅直結及び駅周辺での不動産取得や保有不動産も積極的に活用した不動産開発の推進、大規模再開発ほかまちづくりとの連携強化により、新たな価値を創出します。
- 1. QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
首都圏鉄道ネットワークの中核
首都圏の鉄道ネットワークは、地下鉄、JR、私鉄等によって網の目のようなネットワークで結ばれており、東京都心を中心に、東西南北、郊外部に向かって各路線が延びています。
各路線を運営する鉄道事業者は、移動手段としての鉄道整備だけではなく、駅周辺の住宅開発や拠点駅での商業開発等を進め、沿線の魅力をつくり上げています。こうしたことから、首都圏の中でも東京圏の居住人口は約3,600万人となっており、世界最大級の都市圏が形づくられています。
- 他社との連携
当社路線は数多くの他社線と相互直通運転を行っており、総路線距離は556.6㎞(直通運転を含む)にも及びます。そのネットワークの中心を担うのが日本の政治・経済・文化の中心地である東京の地下を網目状に走る東京メトロです。
当社は、東京都区部を中心に9路線195.0㎞180駅の地下鉄を運営し、うち7路線で他社と相互直通運転を実施しています。首都圏の鉄道ネットワークの中核として郊外から都心へのシームレスな輸送サービスを提供するとともに、首都東京を動かす重要な交通網として人々の暮らしやビジネスを支えています。また、訪日外国人をはじめとした東京への観光やお出かけに向けた様々な取組みも実施しています。1日当たり平均約684万人のお客様にご利用いただいており、首都圏の鉄道ネットワークの中核として重要な役割を果たしています。
- 強みのさらなる強化
当社は、国土交通省交通政策審議会答申第371号及び国と東京都との合意に基づく十分な補助金等の公的支援を前提に、2030年代半ばの開業を目指し、有楽町線延伸(豊洲~住吉間)、南北線延伸(品川~白金高輪間)の整備に向けて取り組んでいます。
特に、有楽町線延伸においては東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線との相互直通運転に向けた取組みを推進しており、鉄道ネットワークの強化を通じて、臨海部・都心部へのアクセス利便性向上や沿線まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化への貢献とともに新たな鉄道需要を創出していきます。
また、東西線の輸送改善、CBTC路線の拡大等により既設路線の遅延解消等に取り組むほか、震災対策・大規模浸水対策といった激甚化する自然災害への対策やセキュリティ強化を図ることで、お客様のご利用動向や社会情勢の変化に応じた安全・安心な鉄道サービスを提供します。
都市機能を支える社員の使命感・技術力
首都東京を支える交通機関という重責を担う東京メトログループにとって、輸送の安全を確保することは、何よりも優先すべき使命です。当社グループでは、地下という特殊な環境下における安全・安定輸送を確保するために安全・防災対策として様々な設備を整備しているほか、万一事故・災害が発生した時のために日頃から様々な訓練等を行い、お客様の安全確保、事故・災害の早期復旧技術の習得に努め、万全の体制をとっています。
総合研修訓練センター
異常時総合想定訓練
- 「さらなる安心」を支える技術
東京メトログループは約100年間にわたり首都東京の公共交通機関を運営し、この間、地下という特殊な環境下において、輸送の安全・安定を確保するための総合的な技術・ノウハウを培ってきました。これらをさらに向上させ、引き続きすべてのお客様の安全を確保し、安心を提供するため、研修や訓練などを通じて、必要な知識・技能を備えた人財を育成しています。
2016年4月に開設した総合研修訓練センターでは、「いつでも」「失敗をおそれず」「本番さながら」の訓練を通じて、 部門間の連携を深め、「協働」を育み知識や技能を磨くなど、当社グループの総合力を高めるための多様な人財育成に向けた取組みを行っています。
毎年秋には、役員及び社員並びにお客様役のお客様モニターが参加し、事故・災害等を想定し、総合研修訓練センターを使用した実践的な「異常時総合想定訓練」を実施しているほか、各自治体、警察・消防機関主催による合同訓練にも積極的に参加しています。
- 強みのさらなる強化
東京メトログループ全役員・社員を対象に、安全繋けい想そう館を活用した安全研修等を実施し、安全を最優先とする企業風土を引き続き形成していきます。さらに、輸送の安全を支える人財を継続的に獲得・育成するため、今後も総合研修訓練センターを活用した各種研修・訓練を実施するほか、安全研修、コンプライアンス研修、ビジネス英語研修等の社員の自律・挑戦・協働を促す研修を実施します。また、デジタル技術の活用やデータ分析のさらなる推進のため、デジタル人財の育成を強化します。加えて、「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を推進します。
経営資本
価値創造プロセス
東京メトログループの3つの強みである「大都市東京に位置する事業エリア」「首都圏鉄道ネットワークの中核」「都市機能を支える社員の使命感・技術力」をもとに、運輸業を中心に不動産事業やライフ・ビジネスサービス事業とのシナジーを強化することで 好循環を生み出し、ビジョンの実現を目指します。
ビジョン:次の「あたりまえ」と「ワクワク」を
安全・安心な日常を支えながら、一人ひとりに合わせたリアルならではの体験や機会を生み出すことで、誰もが生きる「喜び」を実感しながら過ごせる未来を目指します。
次の「あたりまえ」:「あたりまえ」は日々進歩していくもの。 東京メトログループの事業も日々進化させ、世の中のあたりまえをリードしていく。
次の「ワクワク」:新しい移動体験の提供や地域・行政・開発事業者などのパートナーとの共創により、誰もが心おどる未来をつくる。
バリュー(ステークホルダーへ約束する価値)
東京メトログループがサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を解決することにより約束する価値を「バリュー」として、以下のように定義しています。
- サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)については、以下ページをご参照ください。
サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)