平素より東京メトロの事業活動にご理解を賜り、厚く御礼申し上げます。
東京メトロは、東京都区部を中心に9路線195.0km180駅の地下鉄を運営し、うち7路線で他社と相互直通運転を実施する、首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う企業です。
グループ理念である「東京を走らせる力」のもと様々な取組みを進め、2024年10月に東京証券取引所プライム市場に株式を上場し、変革と飛躍にドライブをかける新たなステージを迎えることとなりました。
東京メトロの基幹事業である鉄道事業の旅客運輸収入は、東京都心部をはじめとした開発進展やインバウンド旅行者の増加などお出かけ需要により着実に回復し、コロナ禍で取り組んだコスト構造改革の取組みも功を奏し、経営は堅調に推移しております。一方で、自然災害の激甚化、テレワーク・オンライン会議の定着などによる移動需要の減少、労務費、原材料費等の物価上昇や人手不足の本格化、さらにはテロ・サイバー犯罪のリスクの増加など、当社を取り巻く外部環境は大きく変化しています。
このような中、2025年度は新たな3か年の中期経営計画の初年度として、各種事業戦略及びコーポレート戦略の着実な実施に努めてまいります。具体的には自然災害対策やバリアフリー化を含めたさらなる鉄道の安全・サービス向上、新線建設の着実な推進に取り組むほか、自動運転等の新技術開発・推進や鉄道需要の創出に加え、持続的な成長への基盤づくりに向けた都市・生活創造事業の拡大、新たなビジネスの取組みを推進していきます。特に、ホームドア整備については、鉄道駅バリアフリー料金を活用し、一部の大規模改良工事実施中の駅を除き2025年度に全駅設置完了を予定しております。有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)は2024年11月に工事着手し、新たな未来へ向けた第一歩を踏み出しました。引き続き、十分な公的支援を前提に2030年代半ばの開業に向け、着実に取り組んでまいります。都市・生活創造事業では、将来開発を見据えた不動産取得の推進による不動産事業の拡大や、新規ビジネス開発を含めたライフサービス事業・ビジネスサービス事業の推進を通じて成長を目指してまいります。
そのほかESGの観点では、脱炭素社会の実現に向け、これまで定めていたCO2排出量2030年度50%削減(2013年度比)の目標年度を2027年度に前倒すとともに、2030年度目標を50%削減から53%削減(2013年度比)に高めることといたしました。加えて、人的資本経営、DE&Iの推進により社員一人ひとりの最大活躍を目指すとともに、人権の尊重、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実、デジタル技術の活用・促進により経営基盤の強化を図ってまいります。
東京メトロは、これからもお客様の安全を第一に、首都東京の都市機能を支える交通事業者として、鉄道を核とした都市・生活創造型企業グループを目指してまいります。
今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。