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会社情報

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「鉄道を核とした
都市・生活創造型企業グループ」として
社会のサステナビリティに貢献する

2024年10月23日、当社は東京証券取引所プライム市場に上場しました。これからも、全てのステークホルダーから選ばれる企業グループを目指し、サステナビリティを経営の中心に据え、価値創造の取組みをさらに加速させてまいります。

2023年度を振り返って/中期経営計画「東京メトロプラン2024」の進捗

当社の業績はコロナ禍により2020~2021年度は赤字でしたが、2022年度には黒字に転換、2023年度にはようやくコロナ禍後の姿が見えてきました。人流は大きく変わり、特にテレワークやオンライン会議なども定着したため、営業収益そのものは減収の状態が続いていますが回復基調にあります。2024年度はさらに回復から成長につなげていきたいと考えています。
現在、当社は中期経営計画「東京メトロプラン2024」を推し進めています。この中期経営計画は、コロナ禍及びその後の世の中で求められる当社の在り方について、コロナ禍中に議論し、策定したものです。議論の中で、注目したキーワードは3つあります。1つ目は「安心な空間」です。コロナ禍での経験を踏まえて、世の中はより日常に安心感を求めるようになるのではないかと考えました。2つ目は「パーソナライズド」です。オンライン・Eコマース・テレワークの進展と相まって「個」の追求が加速していく、と捉えました。3つ目は「デジタル」。コロナ禍の赤字を受け、コスト構造改革を実施する必要がありました。デジタル技術(DX)を活用した経営の変革の必要性です。この3つの観点を基に、「構造変革・新たな飛躍」を基本方針に定めました。
また、コロナ禍を経て、鉄道事業とシナジーのある都市・生活創造事業の強化の必要性を感じました。駅とまちが一体となった連携プロジェクトは、そこに集うすべての人にとって魅力的なまちを目指していくものです。2023年度に、虎ノ門ヒルズ駅を全面開業できたことも一つの大きな成果といえます。今後もこうした取組みを推進し、東京に集う一人ひとりにとって魅力的なまちづくりに貢献していきたいと考えています。
また、昨今インバウンドのお客様等が増加したことなどお出かけ需要が高まっています。お出かけ需要の喚起につながる施策がますます重要になっており、今後も様々な施策を展開していきます。

事業活動そのものが社会貢献であり サステナビリティの課題解決である

当社にとってサステナビリティとは、人々の「安心」に持続的に貢献していくことだと考えています。東京メトロの基幹事業である鉄道事業は社会生活に欠くことのできない重要な社会インフラであり、安全性・利便性が人々の移動を支えています。また、都市・生活創造事業では駅とまちを一体的に整備することで、快適な空間とサービスを提供します。事業活動を通じて社会に貢献し、企業価値向上に取り組んでいくことがマテリアリティとして掲げるサステナビリティ重要課題の解決につながっているのです。
2023年度は、主に長期環境目標「メトロCO2ゼロ チャレンジ 2050」の達成に向けた取組みや、人権デュー・ディリジェンスをはじめとする人権尊重に関する取組み、社員一人ひとりを人財と捉えた人的資本経営を推進しました。

2050年度にCO2排出量実質ゼロ達成のための推進力は省エネ・再エネ

「メトロCO2ゼロ チャレンジ 2050」では、2030年度に2013年度比50%のCO2削減を、2050年度にCO2排出量実質ゼロを目標としています。この目標を達成するために、「省エネ施策の実施」と「再生可能エネルギーの活用」を推進しています。
省エネ施策の実施では、電力貯蔵装置や駅補助電源による回生電力の有効活用、車両の省エネルギー化、LED化等を実施しています。再生可能エネルギーの活用では2024年4月から、丸ノ内線と南北線の全電力を水力発電由来の再生可能エネルギーに置き換え、東西線では一部電力に家庭用太陽光発電の余剰電力を使用した運行を始めました。
さらに、これらの施策推進のためにインターナルカーボンプライシング(ICP)を導入し、省エネ・再エネ等の取組みでCO2排出量コストを加味した投資判断を行っていきます。
また、当社は自動車移動と比較してCO2の削減に貢献しています。2022年度の乗車データからCO2排出減貢献量を算出すると、約177万トンもの削減に貢献したことになります。これは、東京都のCO2排出量全体の3%に相当します。このような情報を積極的に発信することで、お客様が鉄道移動を選択する機会を増やし、もっと環境にやさしい社会生活が送れると気づいていただくきっかけを提供していきます。
また、MaaSによって交通モード間や各種サービスとの連携を実現することで、ご自宅から目的地までのバリアを少なくし、シームレスにご移動いただけるようにしていきます。これは鉄道をご利用いただくお客様の増加、ひいては環境保全にもつながると考えています。これを機に、より多くのお客様に自家用車等からメトロへモーダルシフトしていただくことを目指しています。

人権を尊重することがお客様の安全につながる

当社は2023年3月に「東京メトログループ人権方針」を定め、2023年度は人権デュー・ディリジェンスを通じて、人権への負の影響を特定し、その防止または軽減の取組みを始めました。当社は有識者とのダイアログを踏まえ、取り組むべき人権重要課題7つを設定しています。
その中でも、一番に掲げているのは「安全に商品・サービスの提供を受ける権利の侵害」です。当社特有の課題として、お客様が安全に移動できるという当たり前のことを提供し続けることが、事業の根底であり、果たすべき社会的責任であると捉えています。すなわち、この当たり前を損なうことが人権侵害であると考え、お客様の人権を守るためにも安全を追求していきます。
また、2024年3月には、鉄道業界では初となる「カスタマーハラスメント対応ポリシー」を制定しました。私は、駅係員等に対して酩酊されたお客様からの暴行が減らないことや、お客様センター職員や駅係員に心無い言葉をかけるお客様がいることで、そこで働く社員の尊厳が損なわれてしまう状況に心を痛めていました。折しも日本民営鉄道協会による共同でのメッセージ発信や、東京都での条例化などもあって、カスタマーハラスメントに対する社会の考え方が変わりつつあります。そうした状況を受けて制定したポリシーには、カスタマーハラスメントの基準を示すとともに対応方針をきちんと発信することで、「社員が安心してお客様の安全を守る職務に全うできる環境を整備したい」という意思が込められています。
社員が安心して職務に全うすることができれば、お客様にはより安心安全なご移動を提供できるはずです。これからの時代はそういう認識がもっと広まることを願っています。

人的資本経営推進のための人財の三要素「自律」「挑戦」「協働」

中期経営計画で掲げる「構造変革・新たな飛躍」を成し遂げていくのは人財です。そこで、中計実現・達成のための人財戦略で目指す組織像を掲げ、その実現に向け「東京メトログループ DE&I宣言」を制定しました。また、戦略を推進する人財に求める人財像として「自律」「挑戦」「協働」の三要素を導き出しました。特に「協働」については、鉄道事業特有の「チームで仕事をする」という考え方が込められており、鉄道会社らしいものにできたと考えています。
この三要素を支える人事施策には、「WORK×LIFE SMILE ACTION ~社員一人ひとりの最大活躍のために~」というテーマを掲げました。多様な人財が最大活躍できる環境をつくることで、社員一人ひとりのワークライフが輝かしいものであるようにという願いが込められています。このテーマのもと、人財戦略の実現に向けて、「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「健康経営」の観点から、様々な人事施策をより推進していきます。

東京メトロの未来を支えるコーポレート・ガバナンスの強化

私は今、日本社会が変化の入り口にいると感じています。そういう時期にこそ、経営層は未来に向かって社員を引っ張っていく、牽引力を発揮するべきだと考えています。
当社は、株式上場を見据えて2023年度に社外取締役を取締役の3分の1以上となる4名にするとともに、女性取締役も2名選任し、多様性を高めました。役員構成が変わってから一年が経過し、かなり取締役会での議論が活発化してきています。以前は同質的な役員構成であったために、視点も価値観も近くなってしまう傾向がありました。多様な経歴をもつ方々が加わり、互いが自らの価値観を見直し続ける機会ができたことで、議論がより健全なものになったと感じています。これからも充実した議論が行われるように工夫していきます。

100周年を見据えて、これまで以上に都市のサステナビリティに貢献する地下鉄へ

当社の始まりは、1927年に上野と浅草の間に開通した銀座線です。それ以前の東京では満員の路面電車と自動車の増加による渋滞が社会問題になっていました。創業者の早川徳次はロンドンで地下鉄を見て、これこそが都市の交通渋滞を解決する主役になると確信しました。しかし、軟弱地盤である東京に地下鉄が建設できるか、需要がどれだけあるのか、事業としての地下鉄の将来性に疑問を持つ人が少なくありませんでした。それでも早川は、様々な人に会って人脈を広げ、地道な調査活動を続けました。近代日本資本主義の父、新紙幣の顔にもなった渋沢栄一もその一人です。その甲斐あって、やがて多くの賛同者が集まり、東洋初の地下鉄をつくることができました。1927年に営業を開始したので、2027年には100周年になります。
現在の東京の渋滞緩和や環境負荷低減への寄与を考えると、地下鉄は東京にとって不可欠であり、早川に先見性があったことを感じます。今年で東京メトロは設立20周年を迎えますが、2027年の地下鉄開通100周年を前に、有楽町線や南北線の延伸など、地下鉄ネットワークの充実に取り組み、東京の発展に貢献したいと考えています。
東京メトロは、これからもお客様の安全を第一に、首都東京の都市機能を支える交通事業者として、鉄道を核とした都市・生活創造型企業グループを目指してまいります。今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2024年12月
東京地下鉄株式会社

代表取締役社長 山村 明義